医療保険は必要なのか――限度額適用や高額療養費制度などの公的保障が整っている日本において、この問いは多くの人が一度は考えるテーマです。この記事では、貯金がある人が医療保険をどう考えるべきか、現代の医療制度や実例を交えてわかりやすく解説していきます。
公的医療制度でどこまでカバーされるのか
日本には高額療養費制度や限度額適用認定証の制度があり、月の医療費が一定額を超えると、それ以上の負担は軽減される仕組みがあります。たとえば、年収約500万円の人が入院・手術で80万円の医療費を負担した場合でも、自己負担は10万円以下で済むケースも。
そのため、突然の病気やケガでも、ある程度の貯蓄があれば医療費の支払いに困ることは少ないといえます。
医療保険の役割と目的を再確認
医療保険の本来の目的は、治療費の補填ではなく、働けない間の生活費や雑費の支援です。入院中の食事代・差額ベッド代・通院交通費・休業による収入減など、意外と公的支援がカバーしきれない部分を補うことが主な役割です。
たとえば、乳がん手術で入院したAさんの場合、治療費は10万円で済んだものの、5日間の休業で収入が2万円減り、入院時の個室差額代・交通費・付き添い宿泊代などで追加負担が発生しました。
貯金があるなら医療保険は不要か?
「年40,000円で入院1日8,000円の保険に入っているけれど不要では?」という疑問を持つ方もいます。ここで重要なのは、自身のリスク耐性と貯金額です。
もし仮に、1週間の入院で医療費が15万円・雑費が5万円と想定した場合、20万円の支出をすぐに捻出できる貯蓄があるか?という視点で判断することが大切です。
また、40,000円×10年=40万円の保険料を支払っているとしたら、「それを別口座で貯金した方が合理的」と考える方もいます。
医療保険が有効なケースとは?
以下のような場合は、医療保険に入っておく価値があるとされています。
- 貯金がほとんどない、または定期収入が不安定
- がんや慢性病など、長期治療リスクに備えたい
- 家族に経済的な支援を残しておきたい
- 休業時の収入減に備えたい
とくにフリーランスや自営業の方にとって、入院=収入ゼロという現実は深刻です。そのようなケースでは、日額補償が助けになることも多いです。
医療保険以外の備えも検討しよう
医療保険だけに頼るのではなく、つみたてNISAやiDeCoなどで資産形成し、緊急時に備える選択肢も有効です。また、県民共済や都民共済といった共済型の保険も、安価にリスクをカバーできる手段として注目されています。
さらに、会社によっては傷病手当金制度や福利厚生が充実している場合もあるため、自身の勤務先の制度を確認することも忘れずに。
まとめ:医療保険の加入判断は「家計の体力」と「価値観」で決まる
医療保険が必要かどうかは、万人に共通する正解があるわけではありません。「備え」と「無駄」のバランスをどう捉えるかがカギとなります。
貯金がある人にとっては、あえて医療保険を見直すタイミングかもしれませんし、心の安心のために継続するのも一つの選択です。ライフステージや収入状況に応じて、定期的に保険を見直すことが賢明です。
コメント