旧札（伊藤博文・聖徳太子）の受取に注意｜中小店舗が知っておきたい対応とコスト対策

日常の店舗運営において、紙幣による支払いは今も根強く残っています。特に零細事業所では現金対応が不可欠ですが、旧紙幣、たとえば伊藤博文や聖徳太子が描かれた旧千円札・旧一万円札での支払いには特別なコストが発生する場合があります。本記事では、その背景やリスク、そして取るべき対応策を詳しく解説します。

旧紙幣でも「通貨」としての法的効力はある

日本銀行券として発行された紙幣は、新旧を問わず法定通貨です。つまり、伊藤博文の千円札であっても現在の千円札と同様、1,000円の価値を持ちます。法的には受け取りを拒否することは基本的にはできません。

ただし、個人間の取引や店舗の商慣習においては、ある程度の裁量が認められる範囲もあります。現実的な運用として、対応の柔軟性が求められます。

2024年から一部の金融機関では、旧紙幣を入金する際に手数料が発生するケースが増えています。たとえば三菱UFJ銀行では、伊藤博文や聖徳太子の旧札の入金に770円の手数料が課されるようになりました。

これにより、1,000円の入金に770円のコストがかかるという不合理が生じ、零細店舗にとっては「実質的な損失」となります。

一部の店舗では、以下のような対応を行っています。

いずれも法的にはグレーゾーンですが、丁寧に説明すればトラブルにはなりにくい対応策です。

まずは店頭で「旧紙幣での支払いはご遠慮ください」と明記した案内を掲示することをおすすめします。また、どうしても旧札での支払いを避けたい場合、あらかじめ顧客に丁寧に説明し、現行紙幣やキャッシュレス決済への協力を依頼しましょう。

また、受け取ってしまった旧紙幣は、別の業者への支払いや、銀行の手数料が発生しない窓口での両替等、流通コストを抑える方法を検討することも重要です。

キャッシュレスが進む一方で、紙幣は依然として利用され続けます。特に旧札に関しては、事前に対応方針を決め、従業員間で共有しておくことが望ましいです。

「受け取る」「断る」「手数料を案内する」などのルールが明確であれば、顧客とのトラブルも減らせます。

旧紙幣は法定通貨であり、基本的には受け取りを拒否できません。ただし、実務上は「コストがかかる」ことを理由に、柔軟な対応が求められます。店舗としての方針を明確にし、顧客にもわかりやすく説明することで、健全な取引を続けていくことが可能です。

今後の資金管理コストを抑えるためにも、旧紙幣の取り扱いについてはしっかりと準備しておくことをおすすめします。