老後資金の準備として、企業型の「選択制確定拠出年金(選択制DC)」に加えて「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を検討する方が増えています。特に定年が近づく50代〜60代にとっては、節税効果と受取時の最適化が重要なポイントになります。今回は、選択制DCとiDeCoの特徴を比較しながら、併用のメリットや注意点、定年後の加入可能性についても詳しく解説します。
選択制確定拠出年金とは?その特徴とメリット
選択制確定拠出年金とは、給与の一部を掛金として拠出する制度で、会社が導入している場合に利用可能です。拠出した金額は所得扱いにならず、社会保険料と所得税の負担を軽減することができます。
また、運用益が非課税で、60歳以降に年金または一時金として受け取ることができます。企業型DCに比べて柔軟な制度ですが、運用商品や受け取り方には企業の方針が反映されます。
iDeCoの特徴と選択制DCとの違い
iDeCoは個人が任意で加入する制度で、掛金全額が所得控除対象となり、節税効果が非常に高いです。年間で最大81,600円(課税所得が330万円の場合)程度の節税が可能になります。
ただし、iDeCoは60歳まで原則引き出し不可で、選択制DCと異なり企業からの補助はありません。したがって、自己資金で掛金を積み立てる必要があります。
併用は可能?そのメリットと注意点
選択制DCとiDeCoは併用が可能ですが、iDeCoに加入する場合は企業型年金に加入している人としての上限(月額2万円)があります。選択制DCの拠出額が高いと、iDeCoの掛金枠が減る可能性があるため注意が必要です。
併用のメリットは、税制上の優遇を最大限活用できる点です。例えば、選択制DCで社会保険料と税を軽減しつつ、iDeCoでさらに所得控除を狙う戦略が有効です。
退職後にiDeCoを始めることは可能?
2022年の制度改正により、65歳未満であればiDeCoに加入することが可能になりました。ただし、企業に所属していない自営業や無職であっても、国民年金の被保険者である必要があります。
60歳以降に新たにiDeCoを始めても、その年の所得から掛金の全額を控除できるため、再雇用などで収入がある場合は大きな節税効果が期待できます。
実例:60歳退職・再雇用で65歳まで働くケース
ある方が60歳で退職し、退職所得控除を使い切った上で、再雇用で年収300万円とした場合、iDeCoで年間24万円(2万円×12ヶ月)拠出することで、所得控除により約4.8万円の税金軽減が可能になります。
また、iDeCoの運用益は非課税であり、老後の生活資金として安定的に運用する手段となります。60歳以降のiDeCo加入は、老後資金形成+節税という二重のメリットがあります。
まとめ:選択制DCとiDeCoは目的に応じた併用を
選択制確定拠出年金とiDeCoは、それぞれ異なる仕組みと税制メリットを持っています。老後に向けた資産形成には、制度の併用によって節税効果を最大化する戦略が効果的です。
定年後の再雇用期間中にiDeCoを活用することで、所得控除を維持しつつ効率よく資産を増やすことができます。収入やライフプランに合わせて、最適な制度活用を検討しましょう。
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