火災保険を複数契約している場合の損害保険請求の実態と注意点

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火災保険などの損害保険を複数の保険会社と契約している方にとって、「複数契約は本当に意味があるのか?」という疑問は非常に重要です。この記事では、重複契約時の保険金の支払われ方や注意点、そして実際にどう請求すべきかについて解説します。

損害保険は「実損填補」が原則

損害保険には「実損填補(じっそんてんぽ)」という原則があります。これは、実際に被った損害の金額を超えて保険金を受け取ることはできないというルールです。

たとえば、建物の損害修理費が10万円だった場合、保険金として受け取れるのは最大でもその10万円までということになります。仮に2社から保険金を請求しても、合計で10万円を超えることはありません。

2社契約の場合の保険金の分配はどうなる?

複数契約している場合、保険会社同士が「按分(あんぶん)」という形で保険金の負担割合を調整します。たとえば、A社とB社の両方に同条件の契約がある場合、損害10万円に対して、A社とB社が5万円ずつ支払うといった具合です。

この場合、合計で10万円が支払われますが、各社から10万円ずつ=合計20万円は支払われません。実際には、請求額が10万円でも、調査結果などにより「支払い対象は5万円」とされると、そこから更に按分が行われます。

免責金額に注意しよう

火災保険には「免責金額」という自己負担の仕組みがあります。たとえば、免責1万円の場合、損害が10万円でも実際の支払いは9万円になることがあります。

ここで注意したいのが、複数の保険会社に同時請求した場合、各社の免責が適用される可能性があること。つまり、保険会社AとBで免責がそれぞれ1万円なら、2万円分が自己負担となり、結果的に受け取る金額が減ってしまうケースもあるのです。

請求方法はどうすべき?

損害が発生した際、複数社に同時請求する前に、まずは「どちらの保険会社から請求すべきか」を検討しましょう。多くの場合、1社にのみ請求し、支払いを受けた後にもう一方の会社にはその事実を報告する方がスムーズです。

事前に両社へ相談し、保険金の支払い方式・免責・査定基準を確認することが大切です。両社ともに支払う意向であれば、按分されても損はしませんが、手続きが煩雑になる可能性があります。

実際のケース:2社契約でどうなったか?

築30年の木造住宅で雨漏りによる損害が出たケースでは、保険A社が「全体の修繕費の6割」を認定。B社に同じ内容で請求したところ、A社がすでに支払っていることを理由に「按分後の残額のみ支払い」とされました。

結果として2社合わせて修繕費の8割程度は補償されましたが、事前に相談していれば免責額の無駄も抑えられた可能性があったといいます。

まとめ:複数契約の意味と注意点を理解しよう

火災保険を複数契約することには、「契約条件の違いによる補完効果」や「迅速な支払いへの期待」などのメリットがありますが、必ずしも保険金が2倍になるわけではありません

複数契約をしている場合は、必ず事前に保険会社へ相談し、按分ルールや免責適用について理解した上で請求するのが賢明です。正しい知識で損をせずに備えを活かしましょう。

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