国民年金の保険料免除や納付猶予制度は、所得が少ない方でも老後の年金受給資格を確保できる重要な仕組みです。しかし、適用される所得基準が細かく、特に「60万円未満」のような低所得の場合にどう扱われるのか疑問に思う方も多いでしょう。本記事では、具体的な所得基準と免除・猶予の違い、実際の申請方法までわかりやすく解説します。
国民年金の保険料免除制度とは?
国民年金の保険料免除には、全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の4段階があります。また、30歳未満や学生の方を対象にした「納付猶予制度」もあります。これらの制度は、一定の所得以下である場合に申請が可能で、審査により適用の可否が決まります。
免除されると、その期間も年金の受給資格期間に含まれるほか、将来的に保険料を追納することもできます。
免除や猶予に必要な前年所得の基準
全額免除の場合の所得基準は、「扶養親族等控除後の所得が、35万円 ×(扶養親族等の数+1)+10万円以下」が基本です。単身であれば45万円が基準となります。
一方、納付猶予(20~49歳対象)の場合は、扶養親族等控除後の所得が57万円以下が目安です。つまり、「前年所得が60万円未満」であれば、猶予や免除のどちらかには該当する可能性が非常に高いと言えます。
60万円以下の所得の具体例
たとえば、アルバイト収入のみで年間所得が58万円の20代前半の方の場合、「納付猶予」の対象に該当することが多く、学生の場合は「学生納付特例制度」も利用可能です。
また、収入がまったくなかった場合や、所得控除によって課税所得が45万円未満になった場合は、「全額免除」に該当するケースも見られます。
申請方法と必要書類
免除や猶予を受けるためには、毎年7月から翌年6月分までを対象にした申請が必要です。申請先は市区町村の国民年金窓口または年金事務所です。
- 本人確認書類
- 所得のわかる書類(確定申告書や源泉徴収票)
- マイナンバー(通知カードでも可)
申請後、審査により該当する免除区分が決まります。
注意点:遡及申請や追納制度について
免除や猶予は過去2年1か月分まで遡って申請可能です。たとえば、所得が低くて未納のままになっていた場合も、遡って申請すれば未納扱いにならずに済む可能性があります。
また、免除・猶予期間中に支払わなかった分は、10年以内であれば「追納」することで将来の年金額に反映させることができます。
まとめ:60万円未満の所得なら申請する価値あり
前年の所得が60万円未満であれば、国民年金保険料の納付免除または猶予制度の対象となる可能性が高いです。免除・猶予は申請しなければ適用されないため、忘れずに手続きを行いましょう。
より詳しく知りたい方は、日本年金機構の公式サイトもご確認ください。
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