近年、空き家問題が深刻化しており、管理されていない住宅や敷地による近隣住民への影響が増えています。特に、自宅や駐車中の車に隣家の木や構造物が倒れてくる危険性は見過ごせません。そこで気になるのが、自動車保険や日常生活賠償責任補償がこうしたトラブルに対応してくれるのかどうかという点です。
日常生活賠償責任補償とは?
自動車保険の特約としてよく付帯される「日常生活賠償責任補償(通称:日常生活型)」は、自動車以外の日常生活で他人に損害を与えた場合に補償するものです。たとえば、自転車で他人にケガをさせた、飼い犬が他人に噛みついたといったケースが代表的です。
この補償は「被保険者が加害者であること」が前提となっているため、自然災害や第三者の過失による被害は補償対象外となります。
空き家からの落木や倒木は誰の責任か?
空き家の管理者、つまり所有者には敷地や建物の安全管理義務があります。そのため、適切に管理されておらず、木が倒れて近隣に被害を及ぼした場合、所有者が損害賠償責任を問われる可能性があります。
ただし、所有者が不明だったり連絡が取れない場合、損害回復のための手続きが難航することもあります。こうした場合には行政機関や弁護士への相談が有効です。
自分の保険で修理代をまかなえるか?
自動車保険の車両保険に加入していれば、自分の車に落ちてきた木などによる損害は補償されることがあります。ただし、補償対象となるのは保険の契約内容次第で、「飛来物や落下物による損害」が対象となっている必要があります。
一方、日常生活賠償責任補償は「他人に与えた損害」に対するものであり、自分が被害を受けた場合の費用は補償されません。したがって、今回のような空き家による被害が心配されるケースでは、車両保険の加入と補償内容の確認が重要です。
トラブルが起きる前にできること
リスクを未然に防ぐためにも、以下のような対策が考えられます。
- 市区町村の空き家対策課や建築指導課に相談する
- 自治体の「空き家条例」や「特定空き家」指定を調査
- 危険を文書で記録し、第三者に証拠として示せるようにしておく
- 弁護士や専門家への相談を検討する
行政が介入するには一定の危険性や苦情件数などの条件が必要になる場合もありますが、相談は無料で受け付けていることが多いので、まずは連絡してみると良いでしょう。
まとめ:自動車保険と空き家リスクは別物と理解を
日常生活賠償責任補償は、自分が加害者となった場合の補償です。したがって、空き家の管理不備による被害については、空き家の所有者に責任が問われる可能性があり、自分の自動車保険では対応できないケースがほとんどです。
被害を未然に防ぐためには、自治体への相談と記録の保持が重要です。また、車両保険に加入している場合は、保険会社へ連絡して補償の対象になるかを確認しましょう。
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