基礎年金の底上げと厚生年金の財源見直し:受給者に影響はあるのか?

年金

年金制度に関する改革の議論が再び活発化する中、注目を集めているのが「基礎年金の底上げ」です。老後の生活保障を強化する狙いで、低年金受給者を支援する施策として復活の方向で検討されています。しかし、その財源として厚生年金からの拠出が検討されていることから、現役世代やすでに年金を受け取っている方々から「受給額が減るのでは?」という不安の声も上がっています。

基礎年金とは何か?

基礎年金は、国民年金とも呼ばれ、すべての人が加入する制度で、厚生年金に加入している人もこの部分を受け取っています。2025年現在、満額で月額66,250円程度(年金額は物価・賃金スライドによって毎年改定)となっています。

この基礎年金は、老後に最低限の生活を支えるための柱であり、厚生年金や企業年金と組み合わせて老後資金を構築します。

底上げ策とは?背景にある課題

今回の底上げ策は、パートや非正規労働者など、長年保険料を十分に納められなかった人に対して年金水準を引き上げることを目的としています。

背景には、老後生活が困窮する高齢者の増加や、年金格差が社会問題化している現実があります。一定の要件を満たす人に対して、基礎年金額に加算する「加算給付」などが想定されています。

厚生年金からの財源流用とは?

厚生年金は、主に会社員や公務員などが加入している制度で、保険料は労使折半で支払われます。政府は、厚生年金の積立金や保険料の一部を、基礎年金の底上げに充てることを視野に入れているとされています。

この「流用」という表現は誤解を招きやすいですが、実際には制度間の財政調整を行うことで、負担の偏りを是正する狙いがあります。厚生年金に加入している人は、より多くの保険料を納めている分、恩恵も大きいため、再分配という形で基礎年金の支援に回す仕組みです。

既存の厚生年金受給者に影響はある?

一番気になるのが、すでに厚生年金を受け取っている人への影響です。現時点で検討されている制度案では、すでに支給が開始されている年金額を減額することは想定されていません

年金制度は法律で厳格に管理されており、受給権が確定した年金額を一方的に減額するには、相当な法改正と国会での審議が必要です。社会的な反発も大きいため、実務的には極めてハードルが高いのが現実です。

将来的な支給額に影響する可能性は?

今後の世代にとっては、支給開始年齢の引き上げや、年金額のスライド調整(マクロ経済スライド)によって、実質的な受給額が抑制される可能性はあります。

ただし、これは「厚生年金からの財源流用」そのものとは直接関係がなく、年金制度全体の持続可能性を確保するための措置です。基礎年金の底上げも、この制度設計の一部と捉えることができます。

受給者・加入者として今できること

厚生年金受給者は、現時点では心配しすぎる必要はありません。制度変更があれば報道や公的機関から詳細な情報が開示されます。

一方、現役の加入者にとっては、制度変更を見越して、iDeCoやつみたてNISAなど、自主的な資産形成を併用することがますます重要になります。

まとめ:厚生年金からの財源見直しは慎重に進行中

基礎年金の底上げ策は、低所得の高齢者を支えるための政策であり、厚生年金の受給者が直接損をするという性質のものではありません。財源の調整は慎重に議論されており、実施される際には十分な説明と経過措置がとられる見通しです。

今後も年金制度改革の動向には注視が必要ですが、正確な情報に基づき、冷静に対応していくことが求められます。

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