会社を短期間で退職した後に届く「源泉徴収票」と「給料明細」。その中で「支払金額」と「銀行振込額」に差があると、「計算ミス?」「何か損している?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。実はこの差は、制度上よくあることです。今回は、1ヶ月のみ勤務した方にも起こり得る源泉徴収票と明細の金額差について、わかりやすく解説します。
源泉徴収票の「支払金額」とは何か
源泉徴収票に記載される支払金額とは、所得税の計算において「その年に会社から支払われた総額」を意味します。
この金額には、基本給だけでなく、残業代・通勤手当・精勤手当・退職金のうち課税対象となるものなどが含まれます。一方で、非課税の通勤手当などは含まれないケースもあります。
給料明細の「銀行振込額」とは何か
一方で、給料明細の振込額とは、実際に自分の口座に振り込まれた金額=手取り金額です。
この金額は、支払総額から以下のような控除を差し引いたあとの金額です。
- 所得税
- 住民税(あれば)
- 健康保険料・厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 他、会社独自の控除(組合費など)
つまり、源泉徴収票の支払金額より、給料明細の振込額が少なくなるのは通常のことです。
1ヶ月勤務・短期退職でも差が出ることはある
特に1ヶ月の勤務でも、給与の内訳に手当などが含まれていたり、保険料が日割りではなく1ヶ月分フルで控除された場合など、実際の手取り額とのズレが大きく見えることがあります。
例えば。
項目 | 金額 |
---|---|
支払金額(源泉徴収票) | 210,000円 |
社会保険料・税金など控除 | 55,000円 |
銀行振込額 | 155,000円 |
このように、源泉徴収票には「控除前」の金額が記載されているため、実際の手取りとは必ず差が出ます。
税務上の記載ミスの可能性は?
今回のように「5,000円ほどの差異」であれば、ほとんどの場合は正常な計算処理によるものです。ただし、以下の点が気になる場合は問い合わせを検討しても良いでしょう。
- 支払金額が手取り+控除額よりも多い
- 記載されている税額が極端に少ない/多い
- 明細に記載のない手当が含まれている
差がわからないまま放置するよりも、不安な場合は勇気を出して経理に確認することをおすすめします。質問は「計算ミスがないか確認したくて」など、やわらかい表現にすると伝えやすいです。
まとめ
源泉徴収票の「支払金額」と給料明細の「銀行振込額」が違うのは、ごく自然なことであり、税務上も正しい処理です。支払金額は税金計算のための「総支給額」であり、振込額は「控除後の手取り」です。1ヶ月勤務での差異も想定内ですので、特に大きな誤りがなければ心配はいりません。不明な点がある場合は、事務方へ丁寧に確認してみるのが最も安心です。
コメント