勤務時間の変化が健康保険の加入条件に影響を及ぼすことはよくあります。特に週の労働時間が20時間を下回った場合、健康保険の加入要件を満たさなくなる可能性があります。今回は、勤務先が小規模事業所である場合に、健康保険の加入資格がどうなるのか、また、医療機関での受診や雇用主の対応について詳しく解説します。
健康保険の加入基準はどうなっているか?
全国健康保険協会(協会けんぽ)などの健康保険に加入するには、原則として週20時間以上働くことが条件の一つです。その他にも、「雇用期間が2か月を超える見込み」などの要件があります。これらの条件を満たさなくなると、原則として資格喪失の手続きが必要になります。
ただし、企業の規模や従業員数によって適用される基準が異なるため、小規模な会社(常時5人未満の適用除外業種など)では、従業員の状況に応じて個別判断されるケースもあります。
労働時間が減った場合は脱退しなければいけない?
週の労働時間が20時間未満に減少し、かつ2か月を超えてその状態が継続する見込みであれば、健康保険の資格喪失手続きを行う必要があります。会社が保険料を「折半で支払う」と言っていても、それは任意継続や特例加入ではない限り、法律上の加入要件を満たしていなければ保険料を支払うだけでは済みません。
また、加入資格の有無は会社ではなく、健康保険組合や協会けんぽの判断によるため、正確な判断が必要です。
健康保険証はそのまま使っても大丈夫?
もし加入資格をすでに喪失しているにもかかわらず、健康保険証を使って3割負担で受診していると、後日全額自己負担の請求が来る場合もあります。これは「不正利用」に該当する可能性があるため、注意が必要です。
逆に、まだ資格喪失手続きが正式に完了しておらず、保険証が有効である場合は、引き続き3割負担での受診は可能です。したがって、雇用主の言うままではなく、自身で健保に確認を取ることが大切です。
雇用主の言っていることは正しいのか?
雇用主が「折半で保険料を払っているから加入は続けられる」と言っていたとしても、これは健康保険法上の根拠がなければ無効です。保険加入の可否は、保険者(協会けんぽなど)の判断であり、会社の都合で継続できるものではありません。
事業主の善意や慣習に基づいていても、法令上の要件を満たさないまま加入し続けると、後日トラブルになるリスクがあります。必ず保険者に直接確認をとるようにしましょう。
会社規模による適用例:10人未満の小規模事業所
質問にあるように、10人未満の小規模な事業所の場合でも、社会保険の適用事業所であれば労働時間に関わらず健康保険の資格要件は適用されます。ただし、個人事業所で適用除外業種に該当する場合は制度が異なります。
そのため、「会社が小規模だから継続加入できる」というのは一部の誤解であり、加入可否はあくまで要件ベースでの判断が求められます。
まとめ:自己判断せずに健保に確認を
週20時間未満になった場合、原則として健康保険の資格喪失の可能性があります。会社が継続加入を主張しても、保険者による判断が最終的な基準となるため、自身で協会けんぽなどに問い合わせることが重要です。
健康保険証を正しく使用し、後からトラブルにならないよう、早めの確認と対応を心がけましょう。
コメント