定額残業代制度に不満を感じる人へ：現状の理解と対処法を解説

働いても働いても残業代が思うように支払われず、定額制（みなし残業）により報われないと感じている方は少なくありません。この記事では、定額残業代制度の仕組みと注意点、そして実際に制度に不満を抱く方の声を元に、改善のためにできることを解説します。

定額残業代制度とは？基本をおさらい

定額残業代制度とは、あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めて支払う仕組みです。例えば「月20時間分の残業代を固定で支給」するという形です。

この制度は、一定時間までは残業代が別途支払われない代わりに、安定した給与計算ができるというメリットがあります。しかし、その制度の適用方法や運用が適切でない場合、実態としては「サービス残業」となっているケースもあります。

「毎日夜遅くまで働いても、給与が変わらない」「実労働時間が定額時間を超えても追加で支払われない」といった声がよく見られます。

例えば、月45時間働いているのに「みなし30時間」でしか支給されない場合、15時間分の賃金が実質タダ働きになっているという事態が起こります。

結論から言うと、制度自体は合法ですが、適正な運用がされていない場合は違法となります。労働基準法では、実際の労働時間に対して残業代が適正に支払われる必要があります。

企業が明示的に定額残業時間と金額、超過時の追加支払いについて明記していなければ、違法と判断される可能性もあるのです。

30代男性会社員のAさんは「月50時間以上働いても定額内で処理されてしまう。上司に相談しても“制度だから”としか言われない」と語っています。

また、20代女性のBさんは「最初の面談で“残業代込み”とは言われたが、具体的な時間数の明示がなかった。いまさら言えずに泣き寝入りしている」とのこと。

まずは就業規則や雇用契約書を再確認し、定額残業の時間数や支払基準が明記されているかをチェックしましょう。

納得できない場合は、労働基準監督署に相談するのが有効です。また、厚生労働省のあっせん制度や、労働問題に詳しい弁護士に相談する選択肢もあります。

「せめてお小遣いぐらいの残業代が欲しい」と思うのは当然です。まずは制度と向き合い、記録（タイムカード・日報など）を正確に残すことから始めましょう。

勤怠データと給与明細を照らし合わせておくことで、いざというときの証拠にもなります。こうした地道な記録が、自分の働き方を守る盾になります。

定額残業代制度は便利な反面、労働者に不利益を与えかねない制度でもあります。制度が正しく運用されているか、実態と合っているかを常に確認することが大切です。

「我慢」ではなく「改善」のために、知識を持ち、行動することが、自分の生活と労働環境を守る第一歩になります。