国民年金は本当に損?投資と比較しながら考える将来設計の視点

税金、年金

「国民年金は元が取れない」「払うより投資した方がマシ」——そんな声を耳にすることがあります。しかし、本当にそうでしょうか?この記事では、国民年金の制度的な仕組みと投資との比較を通して、長期的な視点から見たメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

国民年金とはどんな制度か?

国民年金は、日本のすべての20歳以上60歳未満の人が加入する公的年金制度で、老後に基礎年金を受け取るための土台です。2025年度の満額は年間約80万円(月額約6.6万円)となっています。

また、老後だけでなく、障害年金や遺族年金といった「万が一」に備える保障も含まれています。

国民年金の「元が取れない」という主張の根拠

よくある主張は「保険料を40年間納めて約800万円払うのに、10年以上生きないと元が取れない」というものです。たしかに計算上はそうですが、これは単純な「払い損・得」の話にすぎません。

国民年金は「保険」の性格を持ち、将来のリスクに備える社会的仕組みとして機能しています。

投資と年金、どちらが合理的か?

確かに、同額の資金を積立投資(例:毎月1.6万円を年5%で40年運用)すれば、資産は約2,500万円に達する可能性もあります。これは魅力的です。

しかし、投資にはリスクが伴い、相場の変動や不況、インフレなどで大きく元本を減らすこともあります。一方、国民年金は終身支給で、インフレにもある程度対応しています。

障害・遺族保障という大きなメリット

国民年金の隠れたメリットとして、障害年金や遺族年金があります。若くして病気や事故で障害を負った場合でも、一定の条件を満たしていれば月々の給付を受けることができます。

また、加入者が亡くなった場合は、遺族に遺族年金が支給され、遺された家族の生活を支える役割も果たします。

未納・免除・猶予という選択肢も

収入が少ない場合は、保険料の免除や猶予制度を利用できます。これらを活用すれば、経済的に厳しい時期にも制度から外れずに済み、将来的に年金を受け取る資格を保持できます。

また、過去の未納分を後から納める「追納制度」もあります。

国民年金+自助努力が理想的

国民年金だけでは老後の生活費としては不十分です。したがって、iDeCoやNISAなどを活用した私的年金や投資との組み合わせが重要になります。

公的年金はあくまで「ベース」であり、それを土台にして自分なりの老後資金戦略を築くことが賢明です。

まとめ:国民年金は損得だけで判断すべきではない

「払っても元が取れない」と思えるかもしれませんが、国民年金は老後の安心だけでなく、障害や死亡といったリスクに備える社会保険です。短期的な損得勘定ではなく、長期的・社会的な視点で捉えることが大切です。

資産形成は投資も必要ですが、公的年金とのバランスを取りながら、安定した老後の設計を考えていきましょう。

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