雇用保険と労災保険の違いとは?それぞれの制度を正しく理解しよう

社会保険

働く人にとって安心して働ける環境を整えるために、さまざまな社会保険制度が用意されています。その中でもよく混同されがちな「雇用保険」と「労災保険」ですが、実はまったく目的の異なる制度です。この記事では、それぞれの違いと役割、具体的な給付内容についてわかりやすく解説します。

雇用保険とは?失業時のセーフティネット

雇用保険は、労働者が失業したときや育児・介護などで休業する際に給付金を受け取れる制度です。対象者は原則として週20時間以上働く被保険者で、雇用主と労働者の双方が保険料を負担しています。

代表的な給付には「基本手当(失業手当)」「育児休業給付金」「介護休業給付金」「教育訓練給付」などがあります。たとえば、退職後に一定条件を満たすと、ハローワークを通じて基本手当を受け取ることができます。

労災保険とは?仕事中や通勤中のケガに備える保険

労災保険(労働者災害補償保険)は、業務中や通勤中のケガや病気、障害、死亡に対して給付を行う制度です。全額事業主が保険料を負担するため、労働者が費用を支払うことはありません。

主な給付には「療養補償給付」「休業補償給付」「障害補償給付」「遺族補償給付」などがあり、例えば仕事中にケガをして働けなくなった場合には、休業補償として給与の80%相当が支給されます。

両制度の主な違い一覧

項目 雇用保険 労災保険
保険料の負担者 労働者+事業主 事業主のみ
対象となる状況 失業・育児・介護等 業務災害・通勤災害
給付の種類 失業手当、育児給付など 治療費、休業補償、障害補償など

このように、雇用保険と労災保険はカバーするリスクや制度の設計が異なっており、両方が働く人を支える重要な仕組みです。

同時に受給できるの?

ケースによっては、両方の保険の給付対象となる可能性もあります。たとえば、通勤災害でケガをして職場復帰が難しくなり、その後退職した場合、まずは労災保険の休業補償を受け、さらに退職後に失業手当の給付を受けられる場合もあります。

ただし、重複して同じ期間に同種の給付が出ることは基本的にないため、ハローワークや労基署に相談するのが安心です。

まとめ:目的が違うからこそ両方大切

雇用保険は「失業や育児などの生活保障」、労災保険は「業務や通勤に伴うリスクへの補償」と、それぞれの役割は明確に分かれています。働く上ではどちらの制度も知っておくことで、もしものときに冷静に対処することができます。

加入手続きは基本的に会社が行うため、労働者自身で申し込みをする必要はありませんが、いざという時のために制度の違いをしっかりと理解しておきましょう。

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