ふるさと納税を活用して控除を受けたとき、「所得税」と「住民税」の両方で税額が減っているのに驚いたことはありませんか?一見すると、どちらか一方に反映されるはずと思われがちですが、実際には制度上、それぞれの税に対して別々の控除が設けられています。本記事では、ふるさと納税による控除の仕組みをわかりやすく解説し、どこにどう反映されるのかを具体的に見ていきましょう。
ふるさと納税の控除は「所得控除」ではなく「税額控除」
まず大前提として、ふるさと納税は「寄附金控除」の一種ですが、医療費控除などのように所得から差し引かれる「所得控除」ではなく、計算された税額から直接引かれる「税額控除」です。つまり、税の算出後に控除額が差し引かれる形式です。
この税額控除は、所得税と住民税の両方に適用される構造になっており、寄附した金額に応じて双方で控除が受けられます。これが「ダブルで控除されているように見える」原因です。
控除の内訳:ふるさと納税の仕組みを分解して理解しよう
ふるさと納税の控除は、以下のように3つの要素に分けられます。
- ① 所得税の控除(寄附翌年の確定申告で反映)
- ② 住民税の基本分(翌年度6月以降の住民税で反映)
- ③ 住民税の特例分(ふるさと納税特有の仕組み)
このうち、①は確定申告によって当年の所得税から還付され、②③は翌年度の住民税の減額として反映されます。たとえば、2024年に寄附した場合、所得税は2025年3月の確定申告で、住民税は2025年6月以降の通知書に反映されるのが一般的です。
なぜ所得税だけでなく住民税でも控除が起きるのか?
これは、ふるさと納税の控除設計が「税の負担を住民税側に重点的に移す」目的でできているためです。住民税は自治体ごとに使われるため、ふるさと納税で他自治体に寄附する分を、住民税の減額という形で補填するのが基本の考え方です。
結果として、住民税の控除額の方が大きくなり、所得税側は比較的小さな控除で済むケースが多くなります。これは制度上の設計であり、異常でもミスでもありません。
具体例で見る控除の流れ
たとえば、年収500万円・扶養なしの会社員が自己負担2,000円で5万円のふるさと納税をした場合、概算の控除は次のようになります。
- 所得税:3,000円程度の還付
- 住民税(基本分):5,000円程度の控除
- 住民税(特例分):39,000円程度の控除
このように、合計で5万円(-2,000円の自己負担)に相当する金額が戻ってくる仕組みです。
ワンストップ特例制度の場合の扱い
確定申告をしない「ワンストップ特例制度」を利用した場合は、所得税からの控除は行われず、全額が住民税からの控除として処理されます。
つまり、ワンストップを使えば「住民税のみで反映される」という結果になります。確定申告をした場合との違いを把握しておくことが重要です。
まとめ:ふるさと納税の控除は制度通りの二重適用
ふるさと納税による寄附金控除が「所得税」と「住民税」の両方に反映されるのは、制度上ごく自然な動きです。「二重控除では?」と感じてしまうのは、税額控除という仕組みと、複数の税にまたがる控除設計がわかりづらいためです。
確定申告をしたか、ワンストップ特例を使ったかによって反映の仕方は異なりますが、最終的な負担軽減額はほぼ同じになります。毎年の控除内容を明細で確認しながら、制度を上手に活用しましょう。
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