妊娠初期の切迫流産などで医師の指示により自宅安静を命じられるケースは少なくありません。その際に「傷病手当金はもらえるのか」と疑問に思う方は多く、会社や社労士の見解が異なることに戸惑う声も聞かれます。本記事では、妊娠に伴う体調不良での傷病手当金の申請可否や、正しい手続き方法について詳しく解説します。
傷病手当金の基本的な受給条件
健康保険法に基づく傷病手当金は、業務外の病気やケガにより労務不能となった際に、休業4日目以降から支給される制度です。主な受給条件は次の4点です。
- 業務外の傷病であること
- 医師の証明により就労不能と判断されていること
- 連続して3日以上休んだ後、4日目以降も労務不能が続いていること
- その期間中に給与の支払いがない(または少ない)こと
妊娠に起因する症状でも、医師の診断により自宅安静が指示されているなら「労務不能」と認定される可能性は高いです。
自宅療養でも受給できるのか?
傷病手当金は「入院しているか」「自宅にいるか」を問わず、医師が就労不能と認めていれば対象になります。実際、切迫流産や妊娠高血圧症候群などの症例では、多くの方が自宅安静中でも手当金を受給しています。
しかし、社労士や企業の中には「自宅療養は労務不能と見なされにくい」と誤解しているケースもあり、医師の診断書に『自宅安静が必要である』『就労は不可』と明記されていることが重要です。
会社が非協力的な場合の対処法
職場が「申請できない」と主張して協力を得られない場合でも、傷病手当金の申請は本人が直接、健康保険組合に提出することが可能です。
申請書の様式は全国健康保険協会(協会けんぽ)や、各組合のサイトでダウンロード可能です。「事業主記入欄」に署名がもらえない場合は、状況を記したメモを添えて提出するとよいでしょう。
注意点と申請時のポイント
- 診断書の記載内容:「就労不能」「要自宅安静」などの明記があること
- 申請書はコピーを保管:トラブル防止のため、提出前に記録を残しましょう
- 健康保険組合に直接相談:社労士や会社経由での誤案内を避けるため、組合への問い合わせが確実です
また、事前に「健康保険被保険者証の番号」「勤務先名」「初日からの欠勤日数」などを整理しておくとスムーズです。
よくある誤解:妊娠=対象外?
「妊娠は病気ではないから対象外」と誤解されがちですが、傷病手当金はあくまで“労務不能”であることが基準です。妊娠を原因とした症状であっても、就労が医学的に不可能な場合は対象になります。
例:
・切迫流産
・妊娠悪阻(つわり)
・妊娠高血圧症候群など
これらは傷病として認められることが多く、正確な診断と記録があれば問題なく申請が通るケースが大半です。
まとめ:自宅療養中でも申請は可能、必要なのは「医師の判断」
妊娠中の切迫流産による自宅療養は、傷病手当金の対象になり得ます。大切なのは「医師が労務不能と判断しているか」「診断書が正確に記載されているか」です。会社や社労士の案内が不正確な場合は、健康保険組合への直接相談を活用しましょう。
妊娠中でも安心して休める環境を整えるために、制度を正しく理解し、必要な手続きをしっかり行ってください。
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