60代前半で退職を迎える女性の多くが直面するのが、失業給付と特別支給の老齢年金の両立に関する悩みです。失業保険と年金の両方を同時に受け取れるのか?どちらかを選ばなければならないのか?この記事では、制度の仕組みと併給調整のルール、そして実際の選択のポイントをわかりやすく解説します。
特別支給の老齢厚生年金とは?
特別支給の老齢年金は、1961年4月1日以前に生まれた方を対象に支給される厚生年金で、65歳前に一部受給できる制度です。特に女性では62歳から支給対象になる方も多く、働きながらまたは退職後すぐに受給開始できる点が魅力です。
ただし、支給開始時点で雇用保険(失業給付)を受給していると、支給が制限される可能性があるため注意が必要です。
失業給付と特別支給の年金は併給できる?
原則として、雇用保険の基本手当(失業保険)と特別支給の老齢厚生年金は同時に受給できません。これは「併給調整」の制度があるためで、年金の支給は一時停止されるか、減額の対象になります。
つまり、基本手当の受給期間中に年金の支給対象となっても、自動的に年金は支給停止扱いとなります。
年金を遅らせることはできるの?
特別支給の老齢厚生年金は「受給資格が発生した月から自動的に支給されるもの」ではありますが、事前に申し出ることで支給の繰下げや停止も可能です。年金事務所で「年金支給繰下げの申出」または「支給停止届」の提出が必要です。
特に失業給付を受けている間は、事前に申請しておくことで年金の支給をずらし、併給調整の影響を回避できます。
実例:失業保険を150日間受給するケース
例えば、2025年3月末に退職し、150日間の失業給付(約5ヶ月)を受給した場合、給付終了が2025年8月末となります。その間に特別支給の年金の支給開始月(例:2025年1月)が訪れた場合、1月から8月の年金分は支給停止となり、9月以降から支給が始まるのが一般的な流れです。
このように、失業保険を優先した場合、年金を後から受け取ることになります。
手続きのポイントと注意点
- ハローワークには年金支給開始予定の旨を伝えておく
- 年金事務所で支給停止・繰下げの申出を忘れずに
- 年金は後から請求できるが、失業保険は期限内手続きが必要
いずれも自己申告制となっているため、必ず事前に年金事務所やハローワークへ相談しましょう。
まとめ:両方受け取るには順番が大切
特別支給の老齢年金と失業給付は「選ばなければならない」のではなく、時期を調整することでどちらも受け取ることが可能です。失業給付が終了してから年金請求をすることで、スムーズに年金受給が開始されます。正しい手続きとタイミングを意識し、制度の恩恵を最大限に活用しましょう。
コメント