退職予定がある場合、繰り上げ返済と貯金どちらを優先すべきか?生活防衛と負債管理のバランスを考える

ローン

クレジットカードローンや消費者金融などの借入を抱えながらも、毎月の返済に問題なく対応している方にとって、ボーナスをどう使うかは大きな判断材料になります。特に将来的に勤務先の閉鎖や転職が決まっている場合、「繰り上げ返済で負債を減らすべきか、それとも現金を残しておくべきか」で悩むケースも多いでしょう。この記事では、繰り上げ返済と貯金のどちらを優先すべきかを状況別に解説します。

基本原則:将来の不確実性には現金で備える

まず大前提として、勤務先の閉鎖が決定している、つまり2年後に確実に収入源が絶たれる状況であれば、繰り上げ返済よりも生活資金の確保を優先するのが基本です。

繰り上げ返済は長期的に見れば利息の節約につながりますが、現金が手元にない状態での突然の失業は、最悪の場合ローンの延滞や信用情報の悪化に直結します。金融機関は「現金がある人」には柔軟でも、「現金がない人」には非常にシビアです。

繰り上げ返済のメリットとデメリット

【メリット】
・元本が減ることで支払利息が軽減される
・返済期間の短縮につながる
・精神的な負担が減る

【デメリット】
・手元資金が減り、緊急時に対応できなくなる
・再度借り入れる際の審査が厳しくなる可能性

一度繰り上げ返済してしまうと、生活費や医療費など急な出費に対して備えが不足し、結果的に高金利のキャッシングなどに頼らざるを得なくなることも。

具体例:貯金とローン返済のシミュレーション

例えば、300万円のクレカローンがあり、ボーナスで毎年30万円繰り上げ返済していたとします。仮に年利15%、返済期間10年の場合、繰り上げ返済をしないよりも利息を約60〜80万円節約できます。

しかし、手元に生活資金が50万円しかない状態で失業した場合、3ヶ月分の生活費に満たない可能性が高く、これは大きなリスクです。失業保険や再就職までのブランクを考慮すれば、最低でも6ヶ月〜1年分の生活費(100〜150万円)の備えが現実的です。

現金の価値は「安心と交渉力」

手元資金があることで、再就職活動の期間に余裕が持てるほか、精神的にも安定します。さらに、カード会社や金融機関に対して「返済原資がある」ことを示せるため、返済条件の交渉も有利になります。

繰り上げ返済してしまえば「誠実な姿勢」は評価される一方、いざというときに「お金がないから払えない」となれば、延滞情報が信用情報に登録され、今後のローンやクレジット契約に悪影響を及ぼします。

バランス案:分割戦略で両立を目指す

すべてを貯金に回すのではなく、ボーナスの50%を貯金、残りの50%を繰り上げ返済という分割戦略も検討に値します。

例えば、30万円のボーナスであれば15万円を貯金、15万円を元本返済に充てることで、将来への備えと負債圧縮のバランスが取れます。さらに、住宅ローンや教育費など別の支出が予定されている場合は、そちらを優先した方がよいケースもあります。

まとめ

確実に失業が控えている状況では、繰り上げ返済よりも生活防衛資金の確保を優先すべきです。ローンの早期完済は理想的ですが、緊急時の現金の価値は非常に高く、失業期間中の生活の安定にも直結します。

その上で、貯金と繰り上げ返済をバランスよく組み合わせる戦略をとることで、経済的な安定と精神的安心の両方を手にすることが可能です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました