年金記録を見て、「厚生年金に300ヶ月も加入していたのに、国民年金の加入期間が228ヶ月しかないのはなぜ?」と疑問に感じる方は多いかもしれません。実はこのようなケースは決して珍しいものではなく、制度上の仕組みによるものです。本記事では、その理由をわかりやすく解説し、誤解を防ぐための知識を提供します。
国民年金と厚生年金の関係とは?
日本の公的年金制度は「2階建て構造」となっており、すべての人が加入する基礎年金=国民年金(1階部分)の上に、会社員や公務員が加入する厚生年金(2階部分)があります。
厚生年金に加入している期間は、自動的に国民年金にも加入している扱いとなり、「国民年金の保険料を別途支払っているわけではない」ことに注意が必要です。
厚生年金と国民年金の「カウント方法の違い」
厚生年金の加入期間は、実際に会社等で厚生年金に加入していた月数を正確にカウントします。一方、国民年金の加入期間には「重複を除いた期間」しか加算されません。
たとえば、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)のうち、会社員として厚生年金に25年間(300ヶ月)加入していた場合、残る15年間(180ヶ月)分を国民年金で加入していたとして、国民年金としては180ヶ月+300ヶ月=480ヶ月ではなく、最大でも480ヶ月までしかカウントされません。
よくある誤解:「厚生年金も国民年金としてカウントされるのでは?」
厚生年金に加入していると、国民年金にも同時加入しているという扱いになりますが、「国民年金の加入月数」としては別管理になるため、国民年金の記録として表示される月数は少なく見えることがあります。
このようなズレは、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認する場合によく見られるもので、実際の年金受給額には影響しません。
年金受給資格に影響はある?
年金の受給資格を得るためには、原則として10年以上の加入期間が必要です。この「加入期間」には、厚生年金と国民年金の両方の期間が合算されて判定されます。
たとえば、国民年金に100ヶ月、厚生年金に200ヶ月加入していた場合、合算して300ヶ月(25年)として受給資格があると判断されます。
誤記の可能性もゼロではない|記録は必ず確認を
ただし、記録の誤りや抜けがあるケースもあります。とくに転職が多かった方や、自営業と会社員を行き来していた方は、記録の漏れや二重計上の可能性もゼロではありません。
そのため、気になる点がある場合は、「年金記録照会」や「年金相談窓口」で内容を確認するのがおすすめです。
まとめ|表示の仕組みを理解すれば安心
厚生年金と国民年金の月数にズレがあるように見えても、それは年金制度上の構造によるものであり、受給資格や支給額には影響しないことがほとんどです。
とはいえ、記録に疑問がある場合は放置せず、日本年金機構や年金事務所に早めに確認することで、将来の不安を減らすことができます。
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