病気やケガで働けない状態が続くと、経済的な不安が大きくなります。会社を辞めたあとに受け取れる「雇用保険の傷病手当」は、そんなときに活用できる制度の一つです。この記事では、雇用保険の傷病手当の最大受給期間や条件、健康保険の傷病手当金との違いについて、具体的な事例も交えて解説します。
雇用保険の傷病手当とは?
雇用保険における傷病手当は、正確には「傷病手当」ではなく「傷病手当受給延長」として扱われ、失業給付(基本手当)に準じて支給されます。
自己都合退職や会社都合退職などで基本手当の受給資格がある方が、病気やけがで求職活動ができない場合に受けられる制度です。
最大で何日受給できるのか
雇用保険の「傷病手当受給延長」は、基本手当と同様に所定給付日数が決まっています。たとえば以下のような日数です。
年齢/退職理由 | 所定給付日数 |
---|---|
自己都合(全年齢) | 90日 |
会社都合(30歳未満) | 90日 |
会社都合(30〜44歳) | 180日 |
会社都合(45歳以上) | 240〜330日 |
傷病手当として受け取れる期間は、この所定給付日数の範囲内で、実際に働けない期間中のみが対象です。
健康保険の傷病手当金との違い
「健康保険の傷病手当金」は在職中に病気やケガで働けない際に支給される制度で、会社の健康保険に加入していることが条件です。最大で1年6ヶ月支給されます。
一方、雇用保険の傷病手当は「退職後の雇用保険給付を延長する制度」であり、最大でも基本手当の給付日数が上限です。
受給のための条件
以下のような条件を満たしている必要があります。
- 雇用保険の受給資格を持っている
- 病気・けがで就職活動ができない
- 医師の診断書がある
- 失業認定日に出頭できない状態である
ハローワークに申請書と診断書を提出する必要があります。審査の上、認定されれば支給対象となります。
実例:どのように受け取れるのか
たとえば、退職後すぐにうつ病を発症し、3ヶ月間療養が必要になった場合、その期間中は求職活動ができないため「傷病手当延長」の申請が可能です。
その後、回復して就職活動を再開すれば、延長された日数分だけ基本手当の支給が継続されます。
申請時の注意点
・受給期間の延長には申請が必要で、原則退職後1ヶ月以内に行う必要があります。
・診断書が必要です。発行には費用がかかることもあるので事前確認を。
・傷病の状態が回復すれば、速やかにハローワークへ再出頭し、求職の意思を示しましょう。
まとめ:制度を正しく理解し、生活の支えに
雇用保険の傷病手当(傷病手当受給延長)は、基本手当の所定日数が上限であり、病気やけがで働けない間でも経済的支援が受けられる大切な制度です。
誤解の多い制度でもあるため、ハローワークに早めに相談し、必要な手続きをしっかりと行うことが重要です。制度を正しく活用して、療養に専念できる環境を整えましょう。
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