住宅を所有していると、地震保険への加入を検討する場面が出てきます。ですが、「どこの保険会社でも補償内容は同じ?」「全損の時でも時価額しか出ない?」「新価で補償される地震保険はないの?」などの疑問を持つ方も多いでしょう。本記事では、地震保険の共通ルールと新価対応の可否について、わかりやすく解説します。
地震保険は国が制度設計する「共通商品」
実は、地震保険はすべての保険会社で共通の制度設計がされています。これは政府と民間保険会社が共同で運営している「地震保険制度」に基づいているからです。
補償内容や支払い条件、保険金の上限額は法律で定められているため、A社でもB社でも内容は変わりません。違いが出るのは「火災保険」部分で、地震保険はあくまでその特約です。
地震保険が「時価額」補償になる理由
地震保険では建物や家財の評価は「時価額」によって行われます。これは「新価」(再取得価格)から経年劣化分を差し引いた金額です。例えば築20年の家は、新築価格が2,000万円であっても、時価額は1,200万円などに設定されることがあります。
これは公平性と持続可能性の観点から制度上定められており、万が一の際にも被災者への広範な支援を可能にするための設計です。
支払いは「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4区分
保険金の支払いは、損害の程度によって区分されます。
損害区分 | 支払われる割合 |
---|---|
全損 | 保険金額の100%(上限あり) |
大半損 | 保険金額の60% |
小半損 | 保険金額の30% |
一部損 | 保険金額の5% |
このように、全損であっても「時価額の100%」が限度となり、火災保険金額の半分までしか契約できないため、実質的な補償額に限界があります。
新価(再取得価格)で地震保険に入ることはできない?
現行の地震保険制度では、「新価」での補償は制度上不可能です。これは法律(地震保険に関する法律)で明確に規定されています。
ただし一部の火災保険会社では、地震保険ではなく独自の特約として地震に関する新価補償を設けている場合があります。これはあくまで「上乗せ補償」であり、地震保険そのものではありません。例:セゾン自動車火災の「じぶんでえらべる地震保険」など。
保険会社を選ぶポイントは「サービスの質と価格」
補償内容が同じでも、保険料の割引制度(免震建築物割引など)や事故対応のスピード、契約更新のしやすさは各社で異なります。見積もりを複数社から取り、補償以外の点を重視して選ぶのが賢明です。
また、火災保険と一緒に見直すことで地震保険料が安くなることもあります。
まとめ|地震保険は共通商品、新価補償は制度上存在しない
地震保険はどこの保険会社で加入しても基本的に補償内容は同じです。補償は時価額が基準で、新価補償の地震保険は制度上存在しません。ただし民間独自の上乗せ補償で実質的に新価に近づけることは可能です。
納得できる保険選びのためにも、火災保険との連携や保険会社のサポート体制まで含めて検討しましょう。
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