会社員として働く多くの人が、「毎月の社会保険料が高すぎる」と感じているのではないでしょうか。確かに手取りが減るため、その負担感は無視できません。しかし、単に「搾取されている」「養分になっている」と感じる前に、社会保険の本来の仕組みと、その恩恵について正しく理解することが大切です。
社会保険料とは何に使われているのか?
社会保険料には、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険などが含まれます。これらの保険料は、病気やけが、失業、老後など、人生の様々なリスクから私たちを守るための仕組みです。
例えば、病気で入院した際に医療費が3割負担になるのも健康保険のおかげですし、退職後の年金や、失業時の失業給付なども社会保険制度に支えられています。
会社員が支払う社会保険料の特徴
会社員の場合、保険料の半額は会社が負担してくれます。これは自営業者などにはない大きなメリットです。たとえば、月収30万円の人が支払う厚生年金保険料は約5万円ですが、そのうち半分は会社負担です。
このように見ると、会社員は社会保険制度においてむしろ“優遇”されているともいえます。
サラリーマンが「損している」と感じる理由
それでも「養分」と感じてしまう背景には、以下のような理由があります。
- 給与明細で保険料の金額を目にすることで負担感が大きい
- 若いうちは保険の恩恵を実感しにくい
- 年金制度の将来に不安がある
特に年金については、「将来もらえないかもしれない」という不安が根強いため、納得感を持てない人が多いのも事実です。
実際に得られる社会保険の恩恵
では、実際に社会保険がどれほど役立つのか、いくつかの実例を紹介します。
ケース1:交通事故で1週間入院したAさん(30代)
健康保険により医療費の7割がカバーされ、合計約15万円の医療費が4万円ほどに抑えられた。
ケース2:退職後、転職活動を始めたBさん(40代)
雇用保険の失業給付により、月額15万円を3ヶ月間受給し生活を支えた。
ケース3:老後に年金を受給するCさん(60代)
厚生年金と国民年金の合計で月額15万円程度の年金を受け取り、生活の柱となっている。
節税の視点から見る社会保険
実は社会保険料は「全額所得控除」の対象です。これはつまり、保険料を払えば払うほど所得税・住民税の負担は減るということです。
さらに、将来の年金受取や給付金は、所得に比べて税制上有利に扱われることも多く、トータルで見れば決して“損”とは言い切れない仕組みなのです。
まとめ:社会保険料=未来への投資と考える視点
確かに、毎月の社会保険料の負担は軽くはありません。しかし、その保険料は、自分自身や家族の生活を守る「保険」としての意味を持っています。サラリーマンが社会の“養分”というわけではなく、「リスクから身を守る代償」としての保険料なのです。
正しく制度を理解し、必要な恩恵を最大限に活用することで、「社会の一員として守られている」という安心感にもつながります。
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