不動産投資で年収1000万円を超えたあたりで「法人化して節税した方がいい」と耳にする方は多いでしょう。しかし、実際には税金や経費を考慮したうえで「個人事業のままで十分」という声も根強くあります。この記事では、不動産投資における法人化のメリット・デメリットを詳しく整理し、判断材料を提供します。
不動産投資における法人化とは?
法人化とは、不動産収入を法人名義で運営することを指します。法人を設立することで、所得税の累進課税を回避し、法人税率(中小企業なら実効税率15〜23%程度)で納税することが可能です。
たとえば、個人で年収1000万円あると、所得税・住民税で30%以上かかることもありますが、法人では利益を分散しながら税負担を軽減する仕組みが作れます。
法人化の代表的なメリット
- 節税の選択肢が増える:役員報酬の調整や家族を役員にすることで所得分散が可能です。
- 経費計上の幅が広がる:社宅制度や退職金積立など、個人より経費にしやすい費目が増えます。
- 相続対策として有利:法人所有物件は相続時の課税評価が抑えられるケースがあります。
たとえば、法人を設立して家族に給与を支払うことで、個人の課税所得を抑えつつ家族の所得税負担も軽く済ませることができます。
法人化にかかるコストと手間
一方、法人化はコストも手間もかかります。最低でも以下のような負担が発生します。
- 設立費用:株式会社であれば約20万円以上。
- 法人住民税の均等割:利益ゼロでも年間7万円〜15万円の固定支出。
- 税理士報酬:法人の会計処理・申告に専門家が必要になるため、年額数十万円かかることも。
また、金融機関との関係や決算書の作成、税務調査対応など、煩雑な事務作業も発生します。
法人化の判断基準とは?
法人化を検討する目安としては、「経費を差し引いた後の不動産所得が500万円を超える」場合に検討の余地があるといわれています。
つまり、家賃収入が1000万円あっても、経費で600万円かかっているなら、法人化の節税メリットはさほど大きくない可能性があります。
逆に経費が少なく、所得が大きい場合は、法人化による節税が見込めるため積極的に検討すべきです。
法人化が向いているケース・向かないケース
向いているケース | 向かないケース |
---|---|
年間所得500万円以上 | 所得が少なく経費も多い |
将来的に物件数を増やしたい | 物件が少なく、今後も増やす予定がない |
相続・事業承継を考えている | 節税以外に目的がない |
まとめ
不動産投資における法人化は「税金が減るから得」という単純な話ではなく、実際には維持コストや手間も含めて総合的に判断する必要があります。年収1000万円でも、経費が多く利益が少ないなら、個人のままの方が合理的なケースも多いです。
迷った場合は、税理士や不動産専門のファイナンシャルプランナーに相談し、自分の事業規模や目的に合った判断をすることが大切です。
コメント