高額療養費制度は、医療費の自己負担額が一定の上限を超えた場合に、その超過分を軽減する制度です。この制度があることで、医療費の負担を抑えられるため「生命保険は不要では?」と考える人もいます。しかし、先進医療や自由診療も高額療養費制度でカバーされるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
高額療養費制度の基本概要
高額療養費制度は、公的医療保険に加入している人が対象で、1ヶ月の医療費の自己負担額が一定の限度額を超えた場合、その超過分が払い戻される仕組みです。
例えば、70歳未満で標準報酬月額28万〜50万円の人の場合、自己負担限度額は「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」となります。つまり、100万円の医療費がかかった場合、自己負担額は約9万円程度に抑えられます。
高額療養費制度ではカバーされない医療費
高額療養費制度は、公的医療保険が適用される医療費に対してのみ適用されるため、以下の費用は対象外となります。
① 先進医療
先進医療とは、厚生労働省が認めた高度な医療技術を用いた治療で、健康保険が適用されないものです。例えば、重粒子線治療(約300万円)や陽子線治療(約250万円)などが代表的です。
これらの治療費は自己負担となるため、高額療養費制度の対象にはなりません。ただし、先進医療にかかる診察料や入院費などの一部は健康保険が適用されることがあります。
② 自由診療
自由診療とは、公的医療保険が適用されないすべての治療のことを指します。海外での治療や、美容目的の施術、高額な抗がん剤治療(未承認薬)などがこれに該当します。
自由診療はすべて自己負担となるため、高額療養費制度の対象にはなりません。
③ 差額ベッド代・食事代・交通費
入院時の個室料(差額ベッド代)や食事代、通院にかかる交通費なども高額療養費制度では補償されません。特に、病院によっては1日1万円以上の差額ベッド代がかかることもあります。
生命保険の必要性は?
高額療養費制度があるため、基本的な医療費の負担は抑えられますが、先進医療や自由診療を受ける可能性がある場合は、生命保険や医療保険を検討する価値があります。
- 先進医療特約付き医療保険:先進医療の治療費を全額カバーする保険があります。
- がん保険:自由診療の抗がん剤治療に対応するものもあります。
- 入院給付金付き医療保険:差額ベッド代や入院中の生活費を補助できます。
まとめ
高額療養費制度は、あくまで公的医療保険が適用される範囲内での医療費負担を軽減する制度であり、先進医療や自由診療には適用されません。そのため、先進医療や自由診療を受ける可能性がある人は、生命保険や医療保険を活用することで、万が一の際の経済的負担を軽減できるでしょう。
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