奨学金は、進学を支援する大切な制度ですが、近年「とりあえず借りておいて、使わなかったら返せばいい」「学費は親が払うから奨学金は生活費やお小遣いに使いたい」といった声も聞かれます。無利子で借りられる制度もあり、一見リスクが少ないように見えますが、本当に借りられるだけ借りるのが正解なのでしょうか?この記事では、奨学金の正しい考え方と注意点をお伝えします。
奨学金の種類と返済の仕組みを理解しよう
日本の奨学金制度の中心は日本学生支援機構(JASSO)による「第一種(無利子)」と「第二種(有利子)」の貸与型です。第一種は家庭の収入などの条件により、無利子で借りられるもの。第二種は利子付きで、返済の際に金額が上乗せされます。
どちらも卒業後に分割で返済が始まります。返済期間は最長20年近くに及ぶ場合もあり、借りすぎると将来的な生活設計に大きな負担を残す可能性があります。
「学費は親が負担、奨学金はお小遣い」は本当に大丈夫?
学費を親が負担し、奨学金を生活費や趣味、交際費に充てるという発想は、短期的には魅力的かもしれません。しかし、奨学金はあくまで「借金」であり、卒業後には確実に返済義務が発生します。
仮に毎月5万円を4年間借りた場合、合計は約240万円。無利子でも月1万円以上を20年間返済するケースもあります。「卒業後に余裕があるから返せばいい」と思っても、就職先や収入状況によっては予想以上に負担になることも。
「使わなかったら返せばいい」という考えは通用する?
たしかに奨学金には「繰上返還」という制度があり、使い切らなかった金額や余剰分は、卒業時または途中で一括返還が可能です。
ただし、卒業後の忙しい時期に、余った奨学金を忘れて使ってしまったり、繰上返還の手続きを怠ると返済義務が確定してしまいます。また、奨学金は振込ごとに“受給履歴”が残るため、「結局全額使った」という人も少なくありません。
奨学金を借りる目的を再確認しよう
奨学金は「経済的な事情で進学や学びが困難な学生を支援する制度」です。そのため、目的外の利用は制度本来の意図とズレが生じます。制度自体が破綻すると、将来的に本当に必要な人が借りられなくなる恐れも。
進学や研究、資格取得、就活資金など、“投資”としての目的を持って借りるならば将来の収入増加につながる可能性もあり、より合理的な使い方だといえます。
失敗しないための奨学金活用のコツ
奨学金は慎重に計画的に使うことで、将来の負担を最小限に抑えることができます。以下のポイントを意識して活用しましょう。
- 生活費や学費の必要額を明確にしたうえで必要最小限の金額だけ借りる
- 繰上返還制度について理解しておき、使わなかった分は早めに返す
- 就職後の月収と返済額のバランスを事前にシミュレーションする
- 余裕があれば、バイト収入や奨学金以外の補助制度も検討する
まとめ:奨学金は“借金”であることを忘れず、目的意識を持って利用しよう
奨学金は、進学をサポートするための非常に有益な制度ですが、無計画に「借りられるだけ借りる」「お小遣い感覚で使う」といった考え方は将来の自分にとって大きな負担となる可能性があります。
借りる前に“なぜ必要か”を明確にし、卒業後の返済まで含めた長期的視点で計画を立てることが、奨学金を賢く活用するカギです。
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