親族が子や孫の名義で定期預金をしているケースは少なくありません。しかし、そのような預金は形式上の名義と実質的な所有者が異なる場合、「名義預金」とみなされ、税務上のトラブルにつながることもあります。今回は、祖母が孫名義で預けた定期預金が満期を迎えた際の贈与税の取扱いについて詳しく解説します。
名義預金とは何か?実質的所有者がポイント
名義預金とは、口座名義は子や孫であっても、実際の預金者(資金提供者)が親や祖父母であるケースを指します。このような預金は、預金通帳や印鑑の管理が誰にあるか、誰の意思で出金されるかが重要な判断基準になります。
たとえば、祖母が自分で通帳を管理し、孫の意思確認なしに入金・解約をしている場合、税務上は「祖母の財産」とみなされ、贈与とは認められない可能性があります。
贈与が成立する条件とその確認方法
贈与税が課されるためには、贈与者と受贈者の「贈与の意思」が合致し、実際に財産の移転が完了している必要があります。この意思の合致を証明する手段として、贈与契約書の作成や受贈者による預金通帳の管理などが挙げられます。
つまり、「祖母があなたに贈与する意思があって、あなたがその資金を自由に管理・使用していた」のであれば、贈与が成立している可能性が高く、課税対象になる場合もあります。
贈与税の非課税枠と税務署のチェック
贈与税には年間110万円の非課税枠があります。これを超えた場合には贈与税の申告が必要となります。たとえば、定期預金の解約で300万円を受け取ると、110万円を差し引いた190万円に対して課税される可能性があります。
税務署は、金融機関や税務調査などを通じて、名義預金の存在や贈与の実態を把握することがあります。特に高額の資金移動がある場合や相続が発生した場合などに重点的に調査されます。
税務署にバレる可能性とその根拠
贈与税の申告漏れが税務署に判明する主なケースとして、次のようなものがあります。
- 金融機関の取引情報の調査
- 相続発生時の名義預金調査
- 親族間の贈与に関する通報
金融機関は一定額以上の現金出金や送金に関して、税務当局への報告義務があります。特に定期預金の解約後に一括出金などが行われた場合、注意が必要です。
税務リスクを避けるための対策とは
税務上のトラブルを避けるためには、以下のような対策が有効です。
- 贈与契約書を作成しておく
- 贈与後の預金通帳・印鑑の管理は受贈者が行う
- 非課税枠内に分割して贈与を受ける
- 必要に応じて税理士など専門家に相談する
特に、定期預金の名義と管理実態が一致していないときは、税務上の扱いが複雑になるため、慎重な判断が求められます。
まとめ
祖母があなた名義で行っていた定期預金は、その資金の出所や管理実態により、名義預金とされる可能性があります。その場合、贈与税の課税対象となることもあるため注意が必要です。
税務署にバレる可能性はゼロではなく、特に高額な預金や一括出金は調査対象になりやすい傾向にあります。適切な証拠を残し、非課税枠や申告の義務を正しく理解することが大切です。
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