年金受給に関しては制度が複雑で、自身の生年月日や選択によって受給できる内容が大きく変わります。特に昭和36年生まれ以降の方にとって、「特別支給の老齢厚生年金(特別支給の厚年)」と「老齢基礎年金の繰上げ受給」の関係は混同しやすいポイントです。本記事では、昭和36年2月生まれの方のケースを中心に、特別支給の老齢厚生年金の受給条件と、繰上げ受給との関係をわかりやすく解説します。
特別支給の老齢厚生年金とは
「特別支給の老齢厚生年金」とは、昭和36年4月1日以前に生まれた人が対象となる、60歳以降に支給される老齢厚生年金です。これは本来65歳からの支給である老齢厚生年金を、段階的に60歳から受け取れるように設けられた経過措置です。
昭和36年生まれの方の場合、報酬比例部分のみが対象で、定額部分の支給はすでに終了しています。たとえば昭和36年2月生まれの男性は、64歳から報酬比例部分を受け取れる可能性があります。
繰上げ受給をすると何が起きる?
老齢基礎年金や老齢厚生年金は、原則65歳から受給可能ですが、60歳以降で繰上げて受け取ることが可能です。ただし、繰上げ受給をすると以後の年金額が永久に減額されます(1ヶ月あたり0.4%の減額)。
さらに重要なのは、繰上げを選択すると特別支給の老齢厚生年金は受け取れなくなるという点です。これは年金制度上「老齢年金の繰上げを選んだ場合、特別支給の制度を放棄したことになる」と扱われるためです。
昭和36年2月生まれのケースの具体例
仮に昭和36年2月生まれの方が、64歳の誕生月に「1年繰上げ」の申請を行った場合、65歳からの老齢基礎年金を64歳から受け取る代わりに、特別支給の厚生年金(報酬比例部分)を受け取る権利を失うことになります。
そのため、特別支給の受給を希望していた方がうっかり繰上げ申請してしまうと、将来的な年金受給額が大きく減る可能性があるため注意が必要です。
特別支給と繰上げの関係まとめ
年金の種類 | 支給開始年齢 | 繰上げの影響 |
---|---|---|
老齢基礎年金 | 65歳(繰上げ可) | 減額して早く受給 |
老齢厚生年金 | 65歳(繰上げ可) | 減額して早く受給 |
特別支給の老齢厚生年金 | 報酬比例:64歳から(昭和36年2月生まれ) | 繰上げすると受給資格喪失 |
年金の選択は長期的視点で
目先の資金が必要だからといって安易に繰上げ受給を選んでしまうと、結果的に数百万円単位で損をする可能性もあります。特に特別支給の年金は数年分の受給が可能なため、慎重に判断することが重要です。
不明な点は、日本年金機構や最寄りの年金事務所に早めに相談することをおすすめします。
まとめ:昭和36年生まれの年金受給は制度理解がカギ
昭和36年生まれの方は、特別支給の厚生年金を受け取れる最後の世代の一つです。老齢年金の繰上げを選択してしまうと、この特例を受け取れなくなってしまうため、制度の仕組みを正しく理解したうえで選択することが大切です。
年金受給の選択肢は一度選ぶと原則変更できません。事前にシミュレーションを行い、将来の生活設計に合った最良の判断をしましょう。
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