発達障害と診断されながらも一般雇用で就労している方にとって、「障害基礎年金を受給しながら働けるのか」「初診日が幼少期でも認定されるのか」など、申請のハードルや疑問は多いものです。この記事では、実際に働きながら障害基礎年金の受給が可能な仕組みや、幼少期に初診日があるケースでも申請が認められるポイントについて、具体的に解説します。
働きながらでも障害基礎年金の受給は可能
まず、障害基礎年金は「就労している=受給できない」という制度ではありません。あくまで障害の等級が該当すれば、就労の有無にかかわらず支給対象となります。
特に発達障害などの精神障害では、軽度の仕事に従事している場合でも日常生活能力や社会的適応に困難が見られれば、2級または3級と判定されることもあります。
初診日が幼少期でも受給は可能
障害年金の申請において極めて重要なのが「初診日」の証明です。発達障害の場合、初診日が幼少期や学生時代にあることが多く、医療機関がすでに閉院していたり記録が残っていない場合も珍しくありません。
このような場合でも、以下のような書類や証言で補完することができます。
- 母子手帳に記載された相談履歴
- 小学校の特別支援記録や指導要録
- 保健所・児童相談所の相談記録
- 家族や医師の陳述書
これらを組み合わせて「合理的に初診日が推定できる」場合は、受給が認められるケースもあります。
一般雇用で働いていると受給は難しい?
一般雇用で働いているからといって、必ずしも年金申請が却下されるわけではありません。ただし、日常生活能力や職場での支援状況など、実際の障害の程度がポイントになります。
例えば、週5フルタイム勤務でも支援者の介入が常時必要だったり、職場の理解と配慮がなければ継続できないような場合は、2級に該当する可能性もあります。
逆に、職場適応が良好で支援なしで業務をこなせている場合は、等級外と判断されることもあります。
申請の流れと必要書類
障害基礎年金を申請するには、以下の書類を整える必要があります。
- 診断書(初診日から1年半経過後の状態を記載)
- 病歴・就労状況等申立書
- 初診日の証明書類(または推定に関する補足資料)
- 年金加入記録(日本年金機構で取得)
発達障害に詳しい医師に診断書を記載してもらうことで、より実情に即した内容になります。年金相談センターや社労士に依頼するのも有効です。
受給できた実例:初診が子ども時代だったケース
30代の男性Aさんは、幼少期に注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断。初診時の記録はなかったが、小学校の特別支援学級の記録と、当時の担任教師の陳述書を提出し、初診日が証明されました。
現在は軽作業のパートタイム勤務をしており、診断書には「常時の助言・支援が必要」と明記されたことから、障害基礎年金2級が認定されました。
まとめ:発達障害での障害年金は働いていても可能。初診日証明がカギ
働いていても障害基礎年金を受給できる可能性はあります。特に発達障害の場合、障害の特性上、仕事と日常生活の両立に支障がある方も多いため、適切な証明と診断書があれば認定の可能性は十分です。
幼少期の初診日についても、代替資料の提出で認められるケースがあります。一人で悩まず、まずは年金事務所や社労士に相談することから始めてみましょう。
コメント