高齢の親が死亡保険に加入したと聞いたとき、「損ではないか?」と不安になるご家族は少なくありません。特に年金生活に入った後の保険加入は、金銭的な面だけでなく、精神的な意義や家族との関係も深く関わってきます。本記事では、高齢者の死亡保険加入の判断基準と注意すべきポイントについて、具体的な事例とともに解説します。
高齢者の死亡保険は本当に必要か?
高齢者が加入する死亡保険は、必ずしも「損得」だけで判断できるものではありません。たとえば「葬儀費用を残したい」「子どもに負担をかけたくない」という本人の強い意思が背景にあることもあります。
とはいえ、保険料が高額であることが多いため、保険の仕組みをしっかり理解したうえで契約することが不可欠です。
77歳から死亡保険に加入するリスクと費用対効果
今回のように、77歳で月9,400円を150ヶ月支払う場合、総支払額は141万円。一方、死亡時の保険金は120万円。90歳まで生きた場合、実質的に21万円の損失となります。
さらに注意すべきは、途中で契約をやめると元本割れとなる可能性が高く、解約返戻金も期待できない場合が多い点です。
保険と貯金、どちらが合理的か?
死亡保険の目的が「葬儀費用の確保」であれば、普通預金や定期預金で積立てる方法も有力です。預金であれば途中解約しても元本が残り、柔軟に使えるメリットがあります。
また、遺族も死亡後に銀行口座から費用を引き出せる体制を整えておけば、保険に頼らずとも対応が可能です。
「知人経由の保険加入」に潜むリスク
「知人が紹介してくれたから安心」という理由で契約してしまうケースは少なくありませんが、販売目的が強い商品であることも多いため注意が必要です。
契約内容が不明確な場合は、必ず書面での契約概要・重要事項説明書を確認し、第三者の専門家(FPや保険相談窓口)に相談することをおすすめします。
家族で話し合うことの大切さ
親が残してくれようとする「思いやり」は非常にありがたいものですが、それを無理に実現しようとして無理な契約をする必要はありません。
「保険でなくても、気持ちは十分に伝わっているよ」と声をかけ、別の方法で備える手段を一緒に検討することが大切です。
まとめ:高齢者の死亡保険は冷静な判断が必要
77歳の方が新たに死亡保険に加入する場合、金額的な損得だけでなく、精神的な満足感や安心感も含めて総合的に判断することが求められます。
もし保険の内容が不明瞭で不安がある場合は、契約を見直し、他の手段での備えを検討することも一案です。大切なのは、ご本人の気持ちと家族の安心が両立できる方法を見つけることです。
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