車両保険を使って自動車の損傷を修理する際、「複数の傷をまとめて直せるのか?」という疑問を抱く方は少なくありません。特に、異なる時期や原因でできた傷がある場合、保険の適用範囲や補償内容が変わるため、混乱しやすいポイントです。今回は、複数箇所の修理を希望する場合の保険申請の考え方と注意点について詳しく解説します。
保険が適用されるのは「1事故ごと」が原則
多くの自動車保険会社、特にあいおいニッセイ同和のような大手損保では、車両保険の補償対象は「1つの事故(原因)による損害」が基本です。つまり、別々のタイミング・要因で生じた傷に対しては、それぞれ個別に保険申請を行う必要があります。
例えば、フロントバンパーをぶつけた事故と、数週間後に別の場所で起きたドアの擦り傷は別の事故と見なされ、それぞれに保険申請を行う必要があります。そのため、保険会社は「一つの事故の申請」としてしか受け付けないことが多いのです。
複数の傷を同時に修理したい場合の対処法
仮に2つの損傷があったとしても、それぞれ別事故と認定される場合には、2回分の申請を行うことで、それぞれの修理費を補償してもらうことが可能です。
ただし、その場合は保険等級が「事故2件分」として下がる可能性があるため、翌年以降の保険料が大幅に上がるというリスクもあります。保険会社とのやり取りでは、傷の発生日時や原因を明確に伝え、各事故を正しく認定してもらうことが重要です。
実例:1件分しか保険が適用されなかったケース
あるユーザーが、ボンネットの傷とリアフェンダーのへこみを一度に修理しようとした際、見積もりを保険会社に提示したところ、「1つの事故にしか対応できない」と説明されました。
このように、同時に直す意思があっても「損害の発生原因が異なる」場合には、原則的に1件ずつの処理が必要であり、申請も分ける必要があるという対応になるケースが多いようです。
修理費用と保険等級のバランスを考慮しよう
保険を使うことで修理代の自己負担は軽くなりますが、その分、翌年度の保険等級が下がるため、長期的には割高になる可能性もあります。修理費が軽微な場合には、自費での修理を検討するのも選択肢の一つです。
以下のような基準で判断するのが賢明です。
- 1件あたりの修理費が等級ダウンによる保険料の増額より高いか
- 複数回申請することで「事故多発」と判断されないか
- 自費修理と保険利用の総費用を比較
申請時に気をつけたいポイント
複数の損傷がある場合、次のような点を確認しましょう。
- 損傷それぞれの「発生日時」と「原因」を明確に説明できるか
- 保険会社に事前に「複数の損傷がある」旨を相談する
- 見積もりは損傷ごとに分けて作成してもらう
また、修理工場との連携も重要です。保険対応ができる整備工場であれば、保険会社とのやり取りをスムーズに進めてくれるケースもあります。
まとめ:状況に応じて柔軟に対応しよう
車両保険では「1つの事故=1回の申請」が原則です。複数の傷を修理する場合は、それぞれの発生原因やタイミングを明確にし、必要に応じて複数回申請を行うか、費用対効果を考慮して自費修理を検討することが求められます。
保険会社とのやり取りや修理見積もりの段階で不明点があれば、遠慮なく相談し、後悔のない選択をしましょう。
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