社会保険料がなくならない本当の理由｜国民全体のセーフティネットとその役割

社会保険料は給料明細を見るたびに「高い」「負担が大きい」と感じる方が多く、SNSでもたびたび不満の声が上がります。では、なぜこれほど多くの人が反対しているにもかかわらず、社会保険料はなくならないのでしょうか？この記事では、その仕組みや目的、そして現状維持されている理由をわかりやすく解説します。

そもそも社会保険料とは？

社会保険料とは、健康保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険などの保険制度を維持するために、国民全員が納めるお金のことです。これらは「万が一」に備えた相互扶助の仕組みであり、病気・老後・失業・介護など人生のリスクに備えるために設けられています。

たとえば、病気で手術を受けたとき、高額医療費の大半が保険でカバーされるのも、社会保険のおかげです。また、定年後に年金がもらえる仕組みも、社会保険制度の一環です。

ネットや口コミなどで「社会保険料が高すぎる」「納得できない」という声が多いため、あたかも「国民の大多数が反対している」ように見えることがあります。しかし実際には、制度の存在自体を否定している人はごく一部で、多くは「もっと効率的に使ってほしい」「適正な額にしてほしい」といった改善を求める声です。

そのため、全体としては制度を維持する方向で国民的なコンセンサスがあるとも言えます。

1. 公的サービスの財源だから
医療、年金、介護といった全世代が関わる生活インフラを支えるため、社会保険料は欠かせない財源です。税金だけではカバーしきれない部分を社会保険料が担っています。

2. 少子高齢化による支出の増加
高齢化が進む中、医療費や年金給付額が増えています。それに伴い、働く世代の負担が重くなっているという側面も。なくすどころか、今後も維持・強化が求められているのが実情です。

3. 相互扶助の理念に基づく制度だから
民間保険とは違い、社会保険は「困ったときはお互いさま」という考え方が根底にあります。これは日本社会の価値観とも強く結びついています。

「税方式」による全額公費負担制度も議論されますが、現実には財源確保・公平性・制度設計の難しさなど多くの課題があります。また、税方式になると給付額が減る可能性もあり、全体としての満足度が下がる恐れも。

そのため、多くの専門家は「現在の制度を改良しながら維持する」方向が現実的だとしています。

社会保険料は原則として強制加入ですが、節約のためにできる工夫もあります。たとえば、扶養に入る・確定申告で社会保険料控除を受ける・iDeCoやNISAなどの活用など、自分に合った方法を探すことも大切です。

また、フリーランスや個人事業主の場合は、国民健康保険・国民年金への加入となるため、負担感を軽減する仕組み（減免制度など）を積極的に利用しましょう。

社会保険料は、高齢化社会において国民全体を支える重要な仕組みです。確かに負担は軽くありませんが、それによって得られる安心やセーフティネットは大きな価値があります。

不満を感じたときは、単に反対するのではなく、「どうすればより良くなるか」を考える視点が求められています。社会保険制度は「誰かのため」ではなく、未来の自分のためでもあるのです。