老後の不安を語る際によく耳にするのが「年金だけでは生活できない」という言葉。しかし、これは一体どの年金を指しているのでしょうか?この記事では、国民年金と厚生年金の違いや、実際の支給額、そして老後資金との関係について詳しく解説します。
国民年金と厚生年金の基本的な違い
日本の公的年金制度は「2階建て構造」と呼ばれています。すべての人が加入する1階部分が国民年金(基礎年金)で、会社員や公務員などがさらに加入する2階部分が厚生年金です。
つまり、自営業者や専業主婦などは国民年金のみ、会社員や公務員は国民年金+厚生年金の両方に加入しています。この制度の違いが将来の年金額に大きな差をもたらします。
年金の平均支給額を比較してみよう
2023年度の年金支給額の目安は以下の通りです。
- 国民年金(満額受給)…月額約66,000円
- 厚生年金(平均的なサラリーマン)…月額約150,000〜170,000円
この差は歴然としており、「年金だけでは生活できない」という声の多くは、国民年金のみのケースに由来していると考えられます。
たとえば、国民年金のみで生活する場合、年間約80万円の収入しか得られません。これでは住居費や食費、医療費などをまかなうのは困難です。
厚生年金でも十分ではない理由
一方で、厚生年金を受給している人であっても、「年金だけでは不安」という声も少なくありません。理由は以下の通りです。
- 生活費が高騰している(物価上昇)
- 介護費や医療費などの将来不安
- 持ち家か賃貸かで支出が大きく異なる
厚生年金を月額16万円受給していても、地方都市ではギリギリの生活、都市部では赤字というケースもあります。
年金だけに頼らないための備え
年金の仕組みを理解したうえで、老後のための備えが重要になります。具体的には次のような対策が考えられます。
- iDeCoや新NISAなどの自助努力
- 再雇用やパートでの継続収入
- 生活コストの見直し(住居や固定費)
たとえば60歳以降も年金受給を繰り下げて働くことで、受給額を最大42%増やすことも可能です。
まとめ:どちらの年金でも「備え」がカギ
「年金だけでは生活できない」という言葉の多くは、国民年金のみのケースを指すことが多いですが、厚生年金であっても余裕があるとは限りません。大切なのは制度の仕組みを理解し、早めに老後の備えを始めることです。人生100年時代、年金を土台に、自分なりのライフプランを描く力が求められています。
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