「免除されたからもう払わなくていい」と聞くと、なんとなく安心してしまいそうですが、実際には老後の年金額に大きな差が出ることがあります。将来しっかりと年金を受け取りたいと考えるなら、国民年金保険料の免除と追納について正しく理解しておくことがとても重要です。
国民年金保険料の免除とは?
国民年金には、経済的な理由などで保険料を納めるのが困難な場合に「全額免除」「一部免除」「納付猶予」の制度があります。これらの制度を利用することで、一定期間は保険料の納付義務が免除されます。
ただし、免除された期間は「払っていない」扱いになるため、そのままにしておくと将来の年金受給額が減額されます。例えば全額免除の場合、年金の受給資格期間にはカウントされますが、将来の年金額はその期間分が半分しか反映されません。
免除期間の年金額はどれくらい減るの?
例えば、1年間全額納付した場合の老齢基礎年金額は2024年度基準で約19,000円程度増えます。しかし全額免除でそのままにした場合、増える年金額は約9,500円に留まります。
つまり、免除期間を放置すると、1年あたり約9,500円も将来の年金額が減ってしまうことになります。長期にわたって免除された場合、その差は数十万円に達することもあります。
追納制度で将来の年金額を取り戻す
免除された保険料は、10年以内であれば「追納」することができます。追納すれば、本来納めたときと同じ扱いになり、年金額が満額分反映されます。
たとえば、過去に全額免除された1年分を追納した場合、約9,500円分の年金が上乗せされることになります。追納する際には、年度によって加算金(利子のようなもの)がかかることがありますが、それでも長期的に見るとお得になるケースが多いです。
追納の手続き方法と注意点
追納したい場合は、最寄りの年金事務所に問い合わせることで手続きが可能です。必要なのは本人確認書類と基礎年金番号です。
注意点としては、追納は古いものから順番に行う必要があること、また加算金の影響で年々負担が増える可能性があることです。できるだけ早く動くことがポイントになります。
免除と放置の違いをしっかり理解しよう
「免除=払ったことになる」というのは一部正解ですが、「払った金額分と同等の年金がもらえるわけではない」というのが重要な点です。将来の年金額を少しでも増やしたいと思うなら、追納制度を活用することが有効です。
ご主人の言う「払わなくても年金はもらえる」は誤りではありませんが、「きちんと払っておいた方が多くもらえる」こともまた事実です。
まとめ
国民年金保険料の免除は、一時的に支払いを免れる制度であって、「将来同じ金額の年金がもらえる」わけではありません。免除された期間については、10年以内なら追納することで将来の年金額を増やすことが可能です。年金は老後の生活に直結する大切な制度。今できる準備をして、安心できる将来を迎えましょう。
コメント