退職を機に企業型確定拠出年金(企業型DC)から個人型確定拠出年金(iDeCo)への移換が必要になるケースは多くあります。とくに50代で退職を迎えた方にとって、老後資金として積み立ててきた企業型DCの扱いは重要な課題です。この記事では、移換手続きを放置した場合のリスクや、iDeCoに移換した場合の費用、そして賢い選択について解説します。
企業型DCを放置するとどうなるのか?
企業型DCを退職後に放置すると、6か月以内に移換手続きをしなければ自動的に国民年金基金連合会の管理下にある「自動移換制度」に移されてしまいます。
この「自動移換」状態になると、運用停止・資産は増えない・手数料だけ引かれるという三重苦に陥ることになります。資産が目減りする可能性があるため、できるだけ早めに手続きを行うことが大切です。
iDeCoへの移換で発生する費用と維持費は?
iDeCoに移換した場合、毎月数百円〜数千円の維持費が発生します。内訳は以下のとおりです。
- 国民年金基金連合会手数料:月額105円
- 運営管理機関(金融機関)手数料:月額0〜数百円(機関により異なる)
- 信託銀行の口座管理手数料:月額66円
例えば、楽天証券やSBI証券などの低コストな金融機関を選べば、合計で月171円程度で運用が可能です。
50歳からのiDeCo加入は可能か?
2022年の法改正により、60歳未満であれば基本的に誰でもiDeCoに加入できるようになりました。50歳の方ももちろん対象です。
ただし、受給開始年齢や加入期間に影響するため、加入可能年数や退職金などの他制度との関係も含めて慎重に判断しましょう。
放置による影響を防ぐためにすべきこと
まずは自分の企業型DCの管理会社に連絡し、「移換依頼書類」を取り寄せましょう。そのうえで、自分が移換先として選びたいiDeCo運営金融機関を決め、移換の手続きを開始します。
時間がかかることもあるため、退職後1か月以内には動き出すのが理想的です。
実例:移換せずに自動移換された人の体験談
ある50代男性は、退職後に企業型DCを放置してしまい、1年後に確認したところ、手数料だけが引かれ、資産が1万円以上減っていたと報告しています。運用もされておらず、再度iDeCoへ移換するにも面倒な手続きが発生し、強く後悔したと語っています。
このような事態を避けるには、早期対応が鍵です。
まとめ:確定拠出年金は放置厳禁、早めの移換が安心
企業型確定拠出年金を退職後に放置すると、資産が減少し、老後資金に影響が出かねません。iDeCoへの移換には一定の手数料はかかりますが、運用を継続し資産を守るためには必要な出費です。
退職後はなるべく早くiDeCoへの移換手続きを行い、資産の目減りを防ぎましょう。
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