自動車保険は『車にかける』べきか？『人にかける』べきか？複数台所有者に最適な保険の考え方

自動車保険を検討する際、多くの人が迷うのが「車ごとに保険をかけるのか」「人ごとに一括で保険をかけられるのか」という点です。特に複数の車を所有している場合、このテーマは非常に重要です。この記事では、任意保険の仕組みと、車ではなく『人』にかけるタイプの保険制度について解説します。

任意保険の基本構造は「車単位」が原則

日本の一般的な任意自動車保険は、車両ごとに保険契約を行うのが原則です。つまり、所有している車1台ごとに保険料が発生し、補償内容も個別に設定されます。

この構造により、1人で複数台の車を保有する場合は、それぞれに任意保険が必要となり、結果的に保険料の負担が増えるケースがあります。

一部の保険会社では、ドライバー保険という形で「車ではなく運転者本人」にかけるタイプの保険を提供しています。これは、他人の車を借りて運転中に事故を起こした場合などに補償される制度です。

ただし、ドライバー保険は運転中の事故補償が限定されており、自分名義の車を複数所有している場合の代替にはならない点に注意が必要です。

複数台の車を所有している場合、セカンドカー割引などを活用することで保険料の負担を軽減できます。これは、すでに1台目の車に任意保険をかけている場合、2台目以降の保険料を等級の高い状態からスタートできる仕組みです。

たとえば、1台目が20等級（最上級）であれば、2台目は通常6等級からスタートするところ、7等級で始められるなどの優遇があります。

アメリカや一部のヨーロッパでは、「人」に対して保険をかけ、運転者がどの車を運転してもカバーされるという制度が普及しています。これは、交通社会における移動の柔軟性を重視しているからです。

日本ではこうした仕組みがまだ一般化されていませんが、将来的には「車社会の多様化」にあわせて制度の柔軟化が求められるかもしれません。

頻繁にカーシェアやレンタカーを利用する人には、ドライバー保険のように「運転者にかける」保険が有効です。これは、短時間の運転や急な利用時でも補償を受けられる柔軟な保険となります。

一方、自家用車を複数所有するようなケースでは、やはり車ごとに任意保険をかける方が現実的で、より手厚い補償を受けられるでしょう。

日本では現状、任意保険は「車にかける」仕組みが主流です。しかし、状況に応じて「人にかける」ドライバー保険の活用や、セカンドカー割引などを組み合わせることで、保険料を抑えつつ適切な補償を得ることが可能です。

保険選びは、ライフスタイルに合わせた戦略が重要です。複数台所有者こそ、保険制度の仕組みを賢く活用していきましょう。