金融資産が1,000万円以下であっても、銀行口座を1つにまとめるのが必ずしも最適とは限りません。今回は、預金口座をひとつに集約するメリットと、複数口座を持つことで得られる利便性や安全性の観点から、判断基準を解説します。
預金が1,000万円以下であれば「ペイオフ」で全額保護される
日本の銀行では「預金保険制度(ペイオフ)」により、普通預金や定期預金などの元本とその利息は1金融機関あたり1,000万円まで保護されます。したがって、資産が1,000万円以下であれば、理論的には一つの銀行口座でも安全です。
ただし、1,000万円を少しでも超えると、その超過分は保護対象外になるため、リスク分散のためには複数口座を持つことが有効です。
口座を分けることで得られる管理のしやすさ
複数口座を持つことで、目的ごとに資金を分けて管理できます。たとえば「生活費口座」「貯蓄用口座」「子ども教育費用口座」などに分ければ、収支の見える化や使いすぎ防止に繋がります。
また、給与振込口座とクレジットカード引き落とし口座を分けることで、入出金の流れが明確になり、家計管理が楽になります。
万が一のシステム障害時のリスクヘッジ
近年、主要銀行でのオンラインバンキング障害やATM停止がたびたび起こっています。すべての資金を1つの銀行口座に集約していると、障害発生時に生活費が引き出せない、送金できないといった問題が生じる可能性があります。
複数の金融機関に預金を分けておけば、ひとつが使えなくなっても他の口座から引き出せるため、緊急時の備えとしても有効です。
デジタル銀行やネットバンクを活用して利便性をアップ
今では楽天銀行・住信SBIネット銀行・PayPay銀行など、手数料無料や高金利を特徴とするネット銀行も増えています。目的別や用途別に、ネットバンクの利便性を取り入れることで、複数口座を持つデメリットを最小化できます。
例えば、住信SBIネット銀行では目的別口座を複数作成でき、貯金の目標管理がしやすくなっています。また、ATM手数料が実質無料の回数もあるため、維持コストがかかりにくいです。
通帳や管理の手間を抑えるにはどうする?
複数口座のデメリットとして「通帳管理が煩雑」「暗証番号を忘れる」といった声もあります。しかし、スマホアプリで残高を一括管理できるサービス(例:Moneytree、マネーフォワードME)を活用すれば、複数口座でも効率的に運用可能です。
通帳記入をしない口座(ネット専用)を選ぶ、暗証番号を統一するなどの工夫もあわせて行えば、運用負担も軽減できます。
まとめ:1,000万円以下でも用途とリスクに応じて口座は分散が賢明
ペイオフの観点では1つの口座でも問題ありませんが、利便性や緊急時のリスク、用途別の資金管理を考慮すると、預金が1,000万円以下でも2〜3口座程度を使い分けるのがおすすめです。
それぞれのライフスタイルや金融リテラシーに合わせて、最適な口座管理方法を選んでみてください。
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