精神障害者保健福祉手帳2級をお持ちの方で、就労して年収がある場合、「障害年金は受け取れるのか?」と疑問に思う方は多いでしょう。特に年収が300万円前後ある場合、支給対象から外れるのではないかと不安になる方も少なくありません。本記事では、年収と障害年金の関係、支給の判断基準、注意すべきポイントを分かりやすく解説します。
精神障害者手帳と障害年金の違いを理解しよう
まず押さえておきたいのは、精神障害者保健福祉手帳と障害年金は全く別の制度であるという点です。手帳は福祉制度に基づくもので、税控除や公共料金の割引などの支援を受けるためのものであり、年金の受給可否には直接関係しません。一方、障害年金は「年金保険制度」に基づき、障害の程度と日常生活の制限状況で受給の可否が決まります。
そのため、手帳2級だからといって必ずしも障害年金2級に該当するとは限りません。審査は別基準で行われます。
障害年金の受給における収入基準とは
障害年金は「所得制限」ではなく「障害の状態」で判断されるため、年収が300万円あっても自動的に支給停止になるわけではありません。ただし、働いて得た収入が『一般的な就労が可能な状態』と見なされると、等級の見直しや支給停止の可能性が出てきます。
実際には、以下のような観点で判断されます。
- 就労時間や業務内容(フルタイムか短時間勤務か)
- 職場での支援の有無(配慮された環境か)
- 通勤・対人関係・ストレス耐性などの日常的な制限
たとえ年収が高くても、働くために大きなサポートを受けている場合や、症状が安定しにくい場合は受給が続くケースもあります。
精神障害者手帳2級の方が受け取れる障害年金の目安
精神障害者手帳2級の方が受け取れる可能性があるのは、多くの場合「障害厚生年金2級」または「障害基礎年金2級」です。支給額の目安は次の通りです。
| 年金の種類 | 年間支給額(概算) |
|---|---|
| 障害基礎年金2級 | 約78万円+子の加算 |
| 障害厚生年金2級 | 報酬比例分+約78万円(基礎年金分) |
質問文の「月7万円程度」というのは、障害基礎年金2級の支給額(月換算)に近い数字です。つまり、該当する場合は手帳2級でもこの程度の金額を受け取ることができます。
年収300万円の場合の受給可否の目安
年収300万円というのは、一般的なフルタイム勤務者の水準に近い収入です。したがって、障害年金の更新審査では「就労能力が高い」と判断され、支給停止または不支給になる可能性が高いです。
ただし、勤務形態やサポート体制によっては例外もあります。例えば以下のようなケースでは受給が継続される可能性があります。
- 短時間勤務(1日4時間以内)で精神的な配慮がある
- 通院を継続し、主治医が「労働能力に制限あり」と診断している
- 過去に発作や休職の繰り返しがある
年金機構は、年収だけで判断せず、実際の生活能力・労働能力の程度を重視します。
受給を希望する場合の注意点と対応方法
年金を申請または更新する際は、診断書の内容が非常に重要です。医師が「就労可能」「安定している」と記載すれば不支給になるリスクが高まります。反対に、仕事における困難さや症状の波が明確に書かれていれば、支給対象になる可能性が残ります。
また、申請前に以下の点を確認しておきましょう。
- 年金の加入期間(初診日に厚生年金か国民年金か)
- 初診日がいつか、医療機関の証明が取れるか
- 生活状況申立書を丁寧に記載しているか
不支給や支給停止になった場合でも、不服申立て(審査請求)が可能です。
まとめ:収入よりも「日常生活の制限」がポイント
精神障害者手帳2級で年収300万円の場合、収入額が高いために障害年金の支給は難しいケースが多いですが、「就労に特別な支援が必要」「症状が安定していない」などの事情がある場合は、受給の可能性が残ります。最終的な判断は診断書と生活状況に基づいて行われるため、医師と相談しながら正確な情報を提出することが大切です。
障害年金は複雑な制度ですが、社会保険労務士など専門家に相談することで、自分に合った手続きを進めることができます。


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