傷病手当金は有給休暇中でももらえる?制度の仕組みと活用法を徹底解説

社会保険

病気やケガで働けない期間が続いた場合、「傷病手当金」という制度があることをご存知でしょうか。会社員や公務員など、健康保険に加入している人なら利用できる可能性がある制度ですが、有給休暇とどう関係するのかは意外と知られていません。この記事では、有給休暇を取得した場合の傷病手当金との関係についてわかりやすく解説します。

傷病手当金とは?基本的な仕組みを解説

傷病手当金とは、病気やケガで会社を休み、給与が支給されない場合に支給される健康保険の給付です。一定の条件を満たせば、給与の約2/3程度の金額が最長で1年6か月支給されます。

主な支給条件は次のとおりです:

  • 業務外の病気やケガで療養中である
  • 連続して3日以上会社を休んでいる(これを「待機期間」と呼びます)
  • 会社から給与が支給されていない、または一部しか支給されていない

有給休暇を使ったら傷病手当金はどうなる?

結論から言うと、有給休暇を使っている期間は「給与が支給されている」と見なされるため、原則として傷病手当金の支給対象外となります。

たとえば16日間休んだうち、最初の10日間を有給で取得し、その後の6日間が欠勤だった場合、傷病手当金の対象となるのは「有給が切れた後の6日間」になります。ただし、その6日間の中で待機期間(連続3日間の無給状態)を満たしていれば、4日目から傷病手当金が支給される可能性があります。

待機期間とは?意外と知られていない落とし穴

傷病手当金の支給には「待機期間」として、連続する3日間の無給の休業が必要です。この待機期間には、有給休暇や土日・祝日は含められません。

つまり、有給が終わってから初めてカウントがスタートすることに注意が必要です。例として、有給が10日間で終わり、11日目から休職して無給であった場合、11〜13日の3日間が待機期間、14日目以降から傷病手当金の支給が開始されます。

実際の支給額はどれくらい?計算方法とシミュレーション

傷病手当金は「標準報酬日額 × 2/3」で計算されます。標準報酬日額は、月収(健康保険上の)÷ 30でおおよそ算出可能です。

例えば、月収30万円の場合:
30万円 ÷ 30日 × 2/3 ≒ 6,666円/日
無給で休んだ日数分の金額が支給されます。

申請手続きの流れと必要書類

傷病手当金を受け取るには、勤務先と医師の証明書付きの申請書を健康保険組合に提出する必要があります。申請書は会社や保険組合のサイトで入手できます。

必要書類は次の通り:

  • 傷病手当金支給申請書
  • 医師の診断書(申請書に記入)
  • 勤務状況と賃金の証明(会社が記入)

不備があると審査に時間がかかるため、提出前によく確認しておきましょう。

まとめ:有給と傷病手当金の使い分けがカギ

傷病手当金は、有給休暇で補えない無給期間をカバーする制度です。したがって、有給を使っていた期間は基本的に対象外となりますが、その後の無給期間には申請する価値があります

手術や長期療養が必要な方は、有給の使い方と傷病手当金の併用を戦略的に考えることが、経済的な負担を減らすカギになります。分からない点は職場の総務や保険組合に早めに相談するのが安心です。

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