障害基礎年金と遺族基礎年金の子の加算要件と年齢要件の違いを徹底解説

年金

年金制度には複雑な要件が多く、特に障害基礎年金と遺族基礎年金における「子の加算」については混同しがちです。この記事では、社労士試験にも頻出のこのトピックについて、制度の趣旨から具体的な適用例まで詳しく解説します。

障害基礎年金における「子の加算」とは

障害基礎年金の受給権者に扶養されている子が一定の年齢未満であれば、「子の加算」が年金に上乗せされます。具体的には、18歳到達年度の末日(3月31日)まで、または20歳未満で一定の障害等級に該当する場合が対象です。

たとえば、健常だった子が18歳を過ぎて加算対象外となった後でも、その子が20歳に達する前に障害等級に該当した場合は、再び「子の加算」の対象になります。この加算は、該当月の翌月から支給されます。

遺族基礎年金と「子の要件」

遺族基礎年金においても、「子」とされるのは18歳到達年度末まで、または20歳未満の障害状態にある場合とされています。しかし、一度受給権を喪失した子が、その後障害等級に該当しても、遺族年金の受給権が復活することはありません

この違いは、障害年金は現在の生活の扶養関係を重視しているのに対し、遺族年金は過去の「被保険者の死亡による支援の喪失」に基づくため、性質が異なるからです。

具体的な問題で考える:社労士試験の例

問題1:障害基礎年金の受給者によって生計を維持されている19歳の子が、障害等級に該当した場合、子の加算は行われるか?

答え:○ 該当した月の翌月から加算されます。

問題2:18歳年度末で遺族基礎年金の支給が終了した子が、その後20歳までに障害等級に該当した場合、遺族年金は再度支給されるか?

答え:✖️ 支給は再開されません。受給権は消滅したままです。

「加算」の制度趣旨の違いを理解しよう

障害基礎年金の子の加算は、受給者に扶養されている家族の生活保障を意図した制度です。そのため、障害者となった子を支援する目的で20歳未満までの加算を認めるという柔軟性が設けられています。

一方で遺族基礎年金は、保険料を納めていた被保険者が亡くなったことに対する「遺族補償」としての性質が強く、受給資格の厳格性が特徴です。

まとめ:年金制度は「目的の違い」で設計されている

障害基礎年金と遺族基礎年金では、「子の加算」の年齢条件や再加算の可否に違いがあります。その違いは、それぞれの制度が持つ目的に基づいており、扶養保障(障害年金)死亡補償(遺族年金)という構造の違いを理解することで整理できます。

社労士試験では、このような制度の趣旨と具体的運用の両面を問う問題が多いため、実例を通じて正確な理解を深めておくことが重要です。

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