長年加入していた医療保険やがん保険を解約した際に受け取る「解約返戻金」。その金額が大きい場合、「税金がかかるのでは?」「確定申告が必要なのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。特に返戻金が数十万円から数百万円単位になると、所得税や住民税の対象になるケースもあります。今回は、アフラックのがん保険を30年間掛けて解約した事例をもとに、課税関係と確定申告の必要性について詳しく解説します。
解約返戻金に税金がかかるのはどんなとき?
解約返戻金は税法上、「一時所得」に分類される場合があります。以下の条件に当てはまると課税対象になります。
- 個人で契約した保険である
- 契約者と保険料負担者が同じである
- 解約によって返戻金を受け取った
一時所得は、次の式で課税されるかどうかを判定します。
(解約返戻金 - 払込保険料総額 - 特別控除50万円)÷2
この金額がプラスになった場合、その半額が課税対象となり、給与などと合算して所得税・住民税が課されます。
実例:30年で支払った保険料と返戻金から課税の有無を試算
質問者の例では、月2,500円×12ヶ月×30年=約90万円の保険料を支払い、解約返戻金が698,000円。以下の式で判定できます。
698,000円(返戻金)- 900,000円(支払保険料)=マイナス202,000円
この場合、解約返戻金は支払額を下回っているため課税対象になりません。
逆に、返戻金が払い込み総額を超え、かつ差額が50万円を超える場合は、確定申告が必要です。
確定申告が不要なケースとは
以下の条件すべてに当てはまると、確定申告は不要です。
- 返戻金が支払った保険料総額以下である
- 返戻金-支払保険料の差額が50万円以下である
- 他に一時所得がない、または合算しても非課税範囲内
先ほどの例ではすべて該当するため、確定申告の必要はありません。税務署から通知なども来ないので安心してください。
一時所得の計算には注意点も
一時所得の非課税枠である「特別控除50万円」は、他の一時的な所得(競馬の払戻金、懸賞金、一時金など)と合算で適用されます。
たとえば、他の保険金や副賞などで一時所得がある場合、それらも含めて50万円を超えると課税されることになります。
複数の保険を一度に解約した場合や副収入がある場合は、税理士や税務署に相談するのが無難です。
まとめ:返戻金だけでは課税されないケースが大半
がん保険などを長年掛けてきた場合でも、返戻金が支払った保険料を下回る、または差額が50万円以内であれば、基本的に税金はかかりません。確定申告も不要なことが多いです。
しかし、他に一時所得がある方や、返戻金が大きい方はケースごとに判断が異なるため、国税庁のホームページや税務署への相談をおすすめします。
一時所得の考え方を理解して、安心して解約返戻金を受け取れるようにしましょう。
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