高齢の親と同居する30代の方が増える中で、「年金受給中の親を扶養に入れるべきか?」という悩みは少なくありません。特に個人事業主の方にとっては、社会保険や税金の仕組みが複雑に感じられることも。この記事では、親を扶養に入れる際の判断基準や、健康保険・税制上のメリット・デメリットについて詳しく解説します。
扶養に入れるとは?まずは制度の基本を知ろう
扶養には大きく分けて2種類あります。「健康保険上の扶養」と「税法上の扶養」です。健康保険では保険料の支払い義務が関係し、税法上では所得控除による節税効果が関係します。
たとえば親が国民健康保険に加入している場合、保険料が高額になることもありますが、健康保険の扶養に入れると保険料が不要になります。一方で、税法上の扶養に入れれば、親の所得が一定以下であれば「扶養控除」が適用され、所得税や住民税が軽減されます。
健康保険の扶養に入れる条件とメリット
会社員などが加入する「健康保険」では、一定条件を満たせば親を扶養に入れることができます。主な条件は以下の通りです。
- 扶養される人(親)の年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者なら180万円未満)
- 同居または仕送りなど経済的扶養関係がある
親が国民健康保険に加入していて保険料が高い場合、扶養に入れることで保険料がゼロになり、経済的な負担が大きく軽減される可能性があります。
個人事業主は親を扶養にできる?
個人事業主が加入しているのは「国民健康保険」であることが多く、この制度には扶養という概念が基本的にありません。そのため、親を健康保険の扶養に入れて保険料をゼロにすることは原則できません。
ただし、税法上の扶養に関しては可能です。個人事業主でも親の年間所得が48万円以下(年金収入のみなら158万円以下)の場合、「扶養控除」が適用され、38万円(同居なら58万円)の控除を受けられます。
税法上の扶養に入れるメリットと注意点
親を税法上の扶養に入れると、所得税・住民税の負担が軽くなる可能性があります。たとえば、同居している場合「同居老親等」の扶養控除が適用され、年間58万円の所得控除が得られます。
ただし、親の所得が一定以上(年金のみで158万円超など)の場合は対象外になります。年金受給額を確認し、扶養控除が使えるか税理士や税務署に相談してみましょう。
親を扶養に入れた場合のデメリット
一見メリットが多そうに見える扶養制度ですが、以下のようなデメリットも考慮すべきです。
- 健康保険の扶養は会社員でないと基本的に利用できない
- 親の収入が基準を超えていると扶養に入れない
- 控除適用のための申告ミスや未申告によるペナルティ
また、将来的に介護保険料などが加算されるケースもあり、トータルで見て本当に得になるかの見極めが重要です。
まとめ:扶養に入れるかの判断は制度理解がカギ
親を扶養に入れることで得られるメリットは、健康保険料の軽減や所得控除による節税など多くありますが、その反面、制度の制限や手続きの手間も存在します。
個人事業主であれば、健康保険上の扶養は使えない可能性が高く、税法上の扶養控除を中心に考えるべきでしょう。親の年金額や同居状況を確認し、必要に応じて税務署や専門家への相談もおすすめです。
コメント