従業員数10名以下の小さな建設会社で、日当25,000円のはずが、手取りがずっと据え置きで厳しいという状況。会社側が「お前に払ってる額は残らない」と言う背景には、どのような費用構造があるのでしょうか。この記事では、社会保険や諸費用の会社負担、交渉の仕方のヒントまで整理して解説します。
社会保険料は会社と折半で意外と高い
法人で従業員を雇用している場合、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険などの社会保険料負担が毎月発生します。健康保険と年金だけでも、雇用側の負担は標準報酬月額の約9~10%、労働者自身も同等額を負担します:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
さらに、雇用保険(0.55%、2025年4月改定)や労災保険(業種により約0.3~10%)などもあり、総合的に見ると給与の15%前後が会社負担になるという試算もあります:contentReference[oaicite:1]{index=1}。
日当25,000円からの差額の内訳を把握する
例えば日当25,000円としても、そこから交通費以外に源泉所得税、住民税、社会保険料(自己負担)、災害補償料金などが差し引かれます。
会社側が「会社に金残らない」と言うのは、これらを含めた人件費全体(給与+会社負担の保険料+事務コスト)が高いため、1日2,000円上げると年間で約50万円以上の会社負担増になる可能性もあります。
なぜ昇給交渉が難しいのか?会社側の実情
小規模法人(従業員10人以下)でも社会保険への加入義務はあり、未加入だと罰則対象になります:contentReference[oaicite:2]{index=2}。会社としては法令遵守の上で全従業員の保険料を納付しなければなりません。
経営者の多く(78%以上)は、社会保険料負担が会社運営に影響すると感じており、実際に資金繰りや手続き負担を懸念しています:contentReference[oaicite:3]{index=3}。そのため、昇給に慎重になるケースが少なくありません。
効果的な交渉に向けて:事実と提案を伝える準備
交渉する際は、「自分がどれだけ差し引かれているのか」「会社の負担はどれくらいか」を具体的に理解して伝えることが重要です。
- 給与明細で手取りと差額を整理する
- 社会保険料の率(約15%)を理解する
- たとえば「月25日出勤で+2,000円=会社に年間約50万円以上の負担」と数字で示す
こうした準備があると、交渉時に具体的な根拠として説得力が増します。
まとめ:交渉には自分の理解と数字の提示が有効
小規模建設業でも、社会保険や税、事故補償などの費用が積み重なり、給与の増額分がそのまま会社負担になるわけではありません。昇給を希望するなら、まずは自分が受け取っている金額と会社の負担の構造を数字で整理し、冷静に伝えることが大切です。
交渉は難しいかもしれませんが、自分の状況を具体的に把握し、誠実に対話することで、理解を得られる可能性は高まります。適切な情報があれば、あなたにも有利な話し合いができるでしょう。
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