うつ病などで会社を休職した際、「傷病手当金をもらえるのでは?」と考える方は多いでしょう。特に在職中は申請しづらく、退職後に申請を考える方も少なくありません。今回は、退職後に傷病手当金を請求できるのか、またその際の注意点について詳しく解説します。
傷病手当金とは?支給の基本条件をおさらい
傷病手当金とは、健康保険加入者が病気やけがにより仕事を休み、給与が支払われないときに生活を支えるための制度です。支給には以下の条件が必要です。
- 健康保険に加入していること(退職後も継続加入が必要)
- 業務外の理由による病気やけがであること
- 仕事に就けない状態であること
- 連続する3日間の待期期間の後、4日目以降の休業に対して支給
また、会社から給与が出ている期間は傷病手当金は支給されません。
退職後の申請は可能?時効と継続要件に注意
結論として、退職後でも傷病手当金の申請は可能です。ただし、いくつかの条件を満たしている必要があります。
- 退職時点で受給条件を満たしていたこと
- 健康保険の任意継続被保険者であること、または退職日の前日まで1年以上被保険者だったこと
さらに、傷病手当金の申請は支給対象期間から2年以内が期限です。たとえば2024年5月に休職していた場合、その分の手当は2026年5月まで申請できます。
「申請は在職中が望ましい」とされる理由
退職後の申請も可能ですが、在職中に手続きをするほうがスムーズです。理由としては。
- 会社の協力(就労状況証明など)が得やすい
- 必要書類をすぐ揃えやすい
- 勤務実態との整合性が確認しやすい
特に精神疾患の場合、職場環境に関する情報が傷病名や診断書に記載されることもあり、勤務中の申請に心理的抵抗を感じる方もいます。
パワハラが原因でのうつ病と傷病手当金の関係
パワハラによるうつ病は「労災」の対象にもなり得ますが、労災申請は手続きや証明が複雑なため、まずは傷病手当金の活用を考える方も多いです。
傷病手当金の申請書に診断書や就労不可の証明は必要ですが、「原因」が具体的に保険者に共有されるとは限りません。傷病名は「うつ病」や「適応障害」と記載され、申請自体が不利益につながることは基本的にありません。
申請時に必要な書類と手続き方法
退職後に傷病手当金を申請するには、次のような手続きが必要です。
- 健康保険の「傷病手当金支給申請書」の入手(協会けんぽの公式サイトからダウンロード可能)
- 医師の意見欄の記載(病院で依頼)
- 勤務先の事業主証明(退職後でも依頼可能)
書類提出先は加入していた保険者(協会けんぽなど)になります。
まとめ:退職後でも条件を満たせば請求は可能
・退職後でも在職中の療養に対する傷病手当金の申請は可能です。
・2年以内に請求すれば時効にはなりません。
・精神疾患でも申請にリスクはなく、正当な権利として利用できます。
・書類準備には時間がかかるため、早めの準備がおすすめです。
退職後も安心して療養や生活が続けられるよう、制度を正しく活用していきましょう。
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