毎年5月頃に会社や事業主を通じて配布される「特別徴収税額決定通知書」。住民税の額が決定され、給与天引きで納税する従業員にとって重要な書類ですが、「徴収額が0円」と記載されている場合、どう理解すればよいのでしょうか?本記事では、0円となる理由やその背景について解説します。
特別徴収税額決定通知書とは
この通知書は、前年の所得に基づいて決定された住民税額を、今年度どのように徴収するかを示した書類です。通常は、勤務先を通じて給与から自動的に天引き(特別徴収)されます。
通知書には、住民税(所得割・均等割)の年額や月額、徴収期間、対象者の氏名や生年月日などが記載されています。
通知書の税額が「0円」になる主なケース
税額が0円と記載されるのは、以下のようなケースが考えられます。
- 前年の所得が非課税基準を下回っていた場合:年収が一定額未満だと、住民税の課税対象にならないことがあります(例:独身で年収100万円以下など)。
- 退職・休職などで給与支給がなかった場合:住民税は前年の収入に基づくため、現在働いていなくても課税されることがありますが、対象者が給与支給の見込みがない場合は0円表示になることがあります。
- 扶養家族に該当した場合:配偶者控除や扶養控除などにより、課税所得がゼロになるケース。
- 前年途中で転職・退職していた場合:勤務実績が短期間であったり、源泉徴収票が発行されていなかった場合。
なぜ0円でも通知書が届くのか
住民税の課税・非課税は一律に判定され、市区町村は前年の所得情報に基づいて全員分の税額を決定します。したがって、仮に非課税であっても、その結果を明記した通知書が作成され、勤務先に送られるのが原則です。
また、たとえ「0円」であっても、従業員の在籍確認や住民税の納付義務の有無を明示するために通知書が交付されます。
「0円=給与なし」とは限らない
通知書の税額が0円だからといって、「現在給与がない」や「前年無収入」と決めつけることはできません。実際には、一定の所得があっても各種控除の適用によって課税所得が0円になる場合もあります。
また、低所得者向けの減免制度などが適用されている可能性もあります。気になる場合は、お住まいの自治体に問い合わせて確認するのが確実です。
通知書の記載内容で確認すべきポイント
- 所得金額:前年の所得に対して課税されているか。
- 控除の種類:各種控除がどの程度適用されているか。
- 均等割の有無:所得割だけでなく、均等割も非課税かどうか。
- 摘要欄の記載:非課税理由や備考が記載されていることもあります。
これらを照らし合わせて確認すれば、「0円」の理由がより明確になるでしょう。
まとめ
特別徴収税額決定通知書に「0円」と記載されていても、それは前年の所得や控除状況などに基づく正当な結果です。給与がないとは限らず、非課税判定の結果や控除によるものもあります。通知書は住民税の有無に関係なく送付されるため、不明な点がある場合は市区町村へ相談し、内容を正確に把握しておくことが重要です。
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