建設業の一括有期事業におけるメリット制適用時の料率計算方法

社会保険

建設業における労災保険の年度更新では、事業の種類や規模に応じて保険料率が異なります。特に、一括有期事業においてメリット制が適用される場合、複数の事業種別が存在する場合の料率計算には注意が必要です。

一括有期事業とメリット制の概要

一括有期事業とは、建設業や立木の伐採業など、複数の有期事業をまとめて労災保険に加入する形態を指します。メリット制は、過去3年間の労災保険の収支実績に基づき、保険料率を増減させる制度です。

一括有期事業においてメリット制が適用されるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 制度適用の前々保険年度の3月31日時点で、労災保険の成立から3年以上が経過していること。
  • 基準となる3保険年度における労災保険の確定保険料が、各年度で40万円以上であること。

これらの要件を満たす場合、メリット制が適用され、保険料率が増減されます。

複数の事業種別がある場合の料率適用

一括有期事業で複数の事業種別(例:35.建築事業、38.既設建築物設備工事業、37.その他の建設事業)がある場合でも、メリット制が適用される場合は、全ての事業種別に対してメリット料率が適用されます。

具体的には、連続する3保険年度中の保険給付等の額及び確定保険料を用いてメリット収支率を算定し、増減表に基づいてメリット増減率を決定します。そして、各事業種別の基準料率にメリット増減率を適用して、メリット料率を算出します。

そのため、主たる業種のみがメリット料率の適用対象となるわけではなく、全ての事業種別に対してメリット料率が適用されることになります。

料率計算の具体例

例えば、以下のような事業種別がある場合。

  • 35.建築事業:基準料率9.5/1000
  • 38.既設建築物設備工事業:基準料率12/1000
  • 37.その他の建設事業:基準料率15/1000

メリット増減率が-20%である場合、各事業種別のメリット料率は以下のように計算されます。

  • 35.建築事業:9.5 × (1 – 0.20) = 7.6/1000
  • 38.既設建築物設備工事業:12 × (1 – 0.20) = 9.6/1000
  • 37.その他の建設事業:15 × (1 – 0.20) = 12/1000

このように、各事業種別の基準料率にメリット増減率を適用して、メリット料率を算出します。

まとめ:複数の事業種別におけるメリット料率の適用

一括有期事業においてメリット制が適用される場合、複数の事業種別が存在しても、全ての事業種別に対してメリット料率が適用されます。主たる業種のみがメリット料率の適用対象となるわけではありません。各事業種別の基準料率にメリット増減率を適用して、メリット料率を算出し、それぞれの事業種別の保険料を計算する必要があります。

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