傷病手当金の「最長1年6カ月支給」の意味とは?退職後も安心できる制度の仕組みを解説

社会保険

病気やケガで長期間働けなくなったときに頼れる制度のひとつが「傷病手当金」です。しかし実際に申請してみると「支給期間は最長1年6カ月」と書かれていて、「自分は60日しか休んでいないのに、なぜ?」と疑問に思う方も少なくありません。本記事では、その支給期間の意味と仕組みについてわかりやすく解説します。

傷病手当金とはどんな制度?

傷病手当金は、健康保険の被保険者が業務外の病気やケガで働けなくなったときに、収入を一定程度補償する制度です。主に会社員やその扶養家族が対象で、勤務先が加入している健康保険組合や協会けんぽから支給されます。

支給される金額は「標準報酬日額の約2/3」で、連続する4日以上の休業が条件です。有給休暇中は対象外になりますが、有給が切れた後の欠勤日から適用となります。

「最長1年6カ月支給」の本当の意味

ここで多くの人が疑問を感じるのが、実際に休んだ日数が60日間なのに、なぜ1年6カ月も支給できる可能性があるのか?という点です。

これは「最長1年6カ月」というのが、「傷病手当金を受ける権利がある期間」の上限であることを意味しています。つまり、病気やケガで働けない状態が続いていれば、60日間に限らず、その後も通院や療養の状況によって支給を継続できるという制度なのです。

実際の支給日数は症状と申請次第

たとえば、退職後も治療が必要で就労できない状態が続いていれば、継続申請を行うことで、退職後でも傷病手当金の支給を受け続けられます。ただし、診断書や医師の意見書が必要で、「就労不能な状態にあること」が証明されなければなりません。

そのため、最初の60日分だけでなく、退職後の療養期間中も主治医の判断によって支給の対象となり得るのです。

支給開始日から起算してのカウント

「1年6カ月」は「支給開始日(有給終了後の欠勤4日目)から数えての期間」です。この間であれば、途中に働いた期間や症状が軽快した期間があっても、再度申請が可能なケースもあります。

ただし、支給期間の途中で他の就職先に就職して働いたり、就労可能と判断されると、支給は打ち切りとなる場合があります。

退職後も継続して受け取れる条件

退職日までに傷病手当金の受給要件(連続する3日間の欠勤+4日目以降の就労不能)が満たされていれば、退職後も支給を受け続けられます。

重要なのは「資格喪失後も受給継続要件」を満たしていること。主な要件は以下の通りです。

  • 退職時点で傷病手当金の支給を受けている、または支給要件を満たしている
  • 退職日まで健康保険に継続して1年以上加入している
  • 退職後も働けない状態が続いている

まとめ:傷病手当金は「受給の上限期間」も知っておこう

「1年6カ月支給される」というのは、「その期間中に働けない状態が続けば、その都度申請できる権利がある」という意味です。60日しか休んでいなくても、その後の病状次第で支給を延長できる制度設計になっています。

今後も通院や療養が続く場合は、遠慮せず継続申請の相談をしてみましょう。症状が軽くなったとしても、働くのが難しければ医師と相談のうえ、傷病手当金の活用を検討することが大切です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました