63歳で退職後、厚生年金の繰上げと失業給付は併用できる?制度の仕組みと注意点を解説

年金

63歳で退職を迎えるにあたり、「年金を繰上げ受給するか」「失業保険(雇用保険の基本手当)を申請するか」と悩まれる方は少なくありません。特に繰上げ受給と失業給付の併用については誤解も多く、申請の順番によって支給額や資格に影響を及ぼす可能性もあります。この記事では、制度の仕組みを整理し、どのような選択ができるのかを実例を交えてご紹介します。

厚生年金の繰上げ受給とは?

厚生年金の老齢基礎年金と老齢厚生年金は原則65歳から受給が開始されますが、希望すれば60歳以降に最大5年繰上げて受給開始することが可能です。

ただし、1か月早めるごとに0.4%(2022年4月以降は0.4%)減額され、繰上げ後は一生その減額率が適用されます。

失業給付(基本手当)の受給資格

雇用保険に1年以上加入し、かつ定年などで離職後に「就職の意思と能力がある」場合、ハローワークで求職登録することで失業給付の対象になります。

60〜64歳でも条件を満たせば最大150日(状況により異なる)程度の支給を受けることが可能です。

繰上げ受給と失業給付は併用できる?

結論から言うと、老齢年金の繰上げ受給中は失業給付を原則として受給できません。これは、年金受給者は「就職の意思がない=失業状態ではない」とみなされるためです。

逆に、先に失業給付を申請して受給期間を終えてから、年金の繰上げを申請することは可能です。この順序なら、両方の給付を受け取ることができます。

実例でわかる:受給順の違い

【例1】退職と同時に厚生年金を繰上げ受給→失業給付は不可。

【例2】退職後、ハローワークで失業給付を150日間受給→終了後に年金繰上げ申請→両方の給付を合法的に受け取れた。

このように、「先に失業給付を受ける」のが最も有利な選択肢といえます。

ハローワークでの手続きのポイント

退職後は速やかにハローワークへ行き、求職申し込みと離職票の提出を行います。その際、「年金はまだ申請していない」ことを伝えることが重要です。

給付期間終了後に年金事務所で繰上げ受給の申請をすれば、両方の制度を適切に利用することが可能です。

まとめ

63歳で退職する場合、以下の点に注意すると失業給付と年金をうまく活用できます。

  • 先に失業給付を申請し、その後に繰上げ受給を申請する
  • 年金を先に受給開始すると、失業給付は原則受給できない
  • 退職後はまずハローワークで求職登録し、失業手当を受給
  • 給付終了後に年金事務所で繰上げ受給の申請がベスト

それぞれの制度にはルールと制約があるため、事前にハローワークと年金事務所に相談のうえ、最適なタイミングで申請を行いましょう。

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