「夫の扶養内で働きたいけれど、シフトが週20時間を超えてしまった…」「年収106万円を超えなければ大丈夫じゃないの?」――このような疑問を抱える主婦・パート・アルバイトの方は多いでしょう。この記事では、106万円の壁の本当の意味と、週20時間勤務が与える影響について、具体例を交えてわかりやすく解説します。
106万円の壁とは?社会保険加入の新基準
「106万円の壁」とは、厚生年金・健康保険(社会保険)に加入するかどうかの基準として設定されている収入ラインです。ただし、単純に「年収106万円以上」で加入になるわけではありません。
以下5つのすべてを満たすと、パート・アルバイトでも被用者保険の加入対象となります。
- ① 週の所定労働時間が20時間以上
- ② 月額賃金が8.8万円以上(年収換算で約106万円)
- ③ 勤務先の従業員数が常時51人以上
- ④ 学生でない
- ⑤ 雇用期間が2か月を超える見込み
上記すべてに該当する場合、たとえ実際の年収が106万円に満たなくても、社会保険への加入義務が生じる可能性があります。
週20時間を超えていたら、年収に関係なく加入の可能性あり
たとえば時給1,100円で週21時間働いた場合、月収は約9万2,400円。年収では111万円ほどとなり、106万円を軽く超えます。この時点で「収入要件」と「週20時間以上」の両方を満たしているため、社会保険加入が義務づけられます。
逆に、年収が105万円台であっても、週20時間を超えていれば「月額8.8万円以上」という基準を一時的に満たすことで加入対象になるリスクがあります。
扶養を外れるとはどういうことか?夫の扶養との関係
社会保険に加入すると、配偶者の扶養(健康保険上の被扶養者)から外れることになります。つまり、妻は自分で健康保険料・厚生年金保険料を支払う立場となり、その分手取りが減少します。
扶養を維持したい場合は、社会保険加入条件を1つでも満たさないようにすることが重要です。特に週20時間未満、月収8.8万円未満という2点がカギになります。
「面接で扶養内と伝えたのに対応されない」場合の対処法
労働契約では「扶養内を希望する」という意志が雇用主に明確に伝えられていても、最終的には実際の勤務実績に基づいて社会保険加入義務が判断されます。
そのため、店長のLINEや口頭でのやりとりに頼るのではなく、「週○時間以内で働きたい」と書面やシフト申請書など明文化された手段で伝えておくことが大切です。必要に応じて、労務担当や本社人事に直接確認するのも有効です。
実例で確認:週20時間超で扶養を外れたケース
例①:妻が週22時間勤務。年収見込みは104万円だが、月額換算では8.9万円のため、加入対象に。社会保険料の天引きが始まり、手取りが約1万円減少。
例②:年収103万円、月収8.7万円、週19時間勤務。→ 社会保険加入対象外となり、夫の扶養を維持。
例③:勤務開始当初は週18時間だが、繁忙期に週23時間勤務に。雇用期間が延長され、被保険者となる通知が届く。
まとめ:扶養内で働くには「週20時間未満&月収8.8万円未満」を厳守
106万円の壁は「年収だけで決まる」わけではありません。特に週20時間以上の勤務は、多くの人が見落としがちな社会保険加入の条件です。
夫の扶養を維持したいなら、月の収入・週の勤務時間ともにシビアにコントロールし、必要に応じて雇用先と明確なやり取りを重ねておくことが重要です。
不安がある場合は、最寄りの年金事務所やハローワークで無料相談も可能ですので、早めの確認と調整をおすすめします。
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