「扶養内で働く」とよく聞きますが、「社会保険に加入する=扶養を外れること」と混同してしまう人も多いです。今回は、扶養と社会保険の違いや月収8.8万円の基準、扶養内で働き続ける方法などを詳しく整理します。
そもそも「扶養内」とは?税制上と社会保険上の違い
「扶養」とは、配偶者や親に生活を支えてもらっている状態のことで、大きく分けて税法上の扶養と社会保険上の扶養があります。
税法上の扶養は、年間所得が48万円以下であれば扶養控除を受けられます。一方、社会保険上の扶養は、被扶養者が収入130万円未満(=月収108,333円未満)で、主たる生計維持者が別にいる場合に該当します。
月8.8万円という基準はどこから来ている?
これは「社会保険の加入義務」が発生する収入の目安で、通称「106万円の壁」とも呼ばれます。週20時間以上勤務し、かつ以下の条件に該当する場合、月額賃金88,000円以上で社会保険の強制加入対象となります。
- 勤務先の従業員数が101人以上(※今後は段階的に50人超でも対象)
- 勤務期間が2ヶ月以上見込まれる
- 学生ではない
この基準を超えると、社会保険料(健康保険・厚生年金)が自己負担で引かれますが、将来の年金や医療費助成にも繋がります。
社会保険に入ると「扶養から外れる」のか?
はい、社会保険に加入すると扶養から外れます。これは、健康保険・年金を自分で払うことになり、扶養される立場ではなくなるためです。たとえば、配偶者の健康保険の被扶養者だった人が、自身で社会保険に加入した場合、扶養の資格は自動的に消滅します。
ただし、会社での社会保険加入義務がない小規模事業所などで働く場合、月8.8万円以上稼いでいても扶養に留まれることもあります(130万円未満かつ扶養条件を満たしている場合)。
パートやアルバイトで扶養内を維持するには?
扶養内を維持したい場合は、次の点を意識する必要があります。
- 収入を年130万円未満(月108,333円未満)に抑える
- 社会保険の加入条件(勤務時間・勤務先規模)を確認する
- 会社の就業形態に応じて加入義務があるかを確認する
実例として、Aさん(主婦)は週15時間×4週で月6万円のパートをしており、夫の扶養に入ったまま社会保険料を払わずに働いています。
扶養から外れたら損なのか?
社会保険に加入すると手取りは減りますが、将来の年金額が増える、医療保険の保障が手厚くなるといったメリットがあります。
たとえば、厚生年金に加入することで、将来受け取れる老齢年金が基礎年金だけよりも多くなる可能性があります。また、傷病手当金や出産手当金など、保険給付も対象になります。
まとめ:扶養内で働くためには条件の理解が必須
「扶養内の社会保険」とは、厳密には矛盾する表現です。社会保険に加入すれば、扶養から外れることになります。一方、収入と勤務条件を調整すれば扶養内で働き続けることも可能です。
働き方や将来のライフプランに合わせて、「扶養内で働く」か「社会保険に加入して自立する」かを選択するのが大切です。自分に合った働き方を選ぶために、会社の就業規則や社会保険制度の仕組みをよく理解しておきましょう。
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