介護の現場では夜勤専従としてWワークされている方も多く、社会保険の加入条件や副業収入の確定申告に悩むことがあります。本記事では、介護業界の副業における社会保険加入の条件や税務上の注意点を、実例を交えてわかりやすく解説します。
副業でも社会保険に加入することはある?
結論から言うと、一定の条件を満たすと副業先でも社会保険加入義務が生じる場合があります。これを「ダブルワークでの社会保険の二以上事業所勤務」と言います。
厚生年金・健康保険の加入対象になるには、以下の条件を全て満たす必要があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上(年収換算約106万円)
- 1年以上の雇用見込み
- 学生ではない
- 従業員数101人以上の事業所で勤務
上記を満たすと、たとえ副業であっても社会保険の加入義務が発生する可能性があります。
今回のケースでは副業先で社会保険に加入する?
例えば、ある方が副業で介護の夜勤を月9回、1回あたり12,000円の報酬を受け取ると仮定すると、月収は108,000円となり、条件の「月額8.8万円以上」をクリアします。
ただし、副業先の勤務時間が週20時間を超えるか、雇用契約が明確であるかなども見られます。夜勤専従で勤務時間が1回13時間前後(休憩除く)で9回勤務なら、単純計算でも117時間以上/月となるため、週換算でも約27時間と判断される可能性があります。
この場合、副業先でも社会保険の加入対象になる可能性があります。
主たる勤務先との関係と「二以上事業所勤務」の扱い
主たる勤務先(派遣元)で既に社会保険に加入している場合、副業先でも条件を満たせば「二以上事業所勤務」として、両方の収入を合算して保険料を計算する仕組みがあります。
そのため、副業が収入増に直結するとは限らず、保険料が高くなる可能性がある点にも注意が必要です。副業先でも労働条件通知書や雇用契約書に雇用期間・時間が明記されているか確認しましょう。
副業で確定申告が必要になる場合と注意点
副業での収入が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。今回のように月9回勤務で月収約108,000円なら、半年程度で20万円を超える計算です。
勤務先が「確定申告をしてくれる」と言っても、その内容が住民税のみなのか、所得税も含むのかを明確に確認することが大切です。確定申告の代行をしてもらっていても、自分の主たる収入と合わせて税務署に正しく申告されているかを把握しておきましょう。
また、住民税の通知が副業先に届くことで副業がバレる可能性もあるため、「住民税の普通徴収」を選ぶことが望ましいケースもあります。
実例:副業の介護夜勤で年間収入が増えたケース
ある女性は本業の介護派遣で月10回夜勤、副業で月5回夜勤をしており、年収ベースでは副業のみで約75万円稼いでいました。
副業先は労働時間が週20時間未満だったため社会保険加入は不要でしたが、年間所得が20万円を超えたため自身で確定申告を行い、住民税のみ普通徴収に切り替えて副業先に情報が行かないように対処しました。
まとめ:副業でも社会保険・確定申告の準備を
・副業でも社会保険加入が必要になるケースがある(週20時間・月8.8万円以上・従業員101人以上など)
・主たる勤務先と副業先を合わせた「二以上事業所勤務」になる可能性もある
・副業収入が年間20万円を超えると確定申告が必要
・住民税の課税方法を「普通徴収」にすると副業先に通知されにくい
Wワークが一般化する今、制度を理解し、自分にとって不利にならないような働き方を選ぶことが大切です。
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