確定拠出年金(企業型DC)は、企業が従業員の老後資金として拠出する制度です。退職時にこの制度をどう扱えばよいか悩む方も多く、現金化の可否や活用法には注意が必要です。
確定拠出年金は退職後すぐには現金化できない
確定拠出年金は老後資金としての制度であるため、原則として60歳になるまで現金化することはできません。退職した場合でも、その資産は本人の名義で引き継がれ、途中で引き出すことは法律で禁止されています。
例外的に、障害を負った場合や脱退一時金の条件に合致する場合にのみ、一部または全額を現金化できることがありますが、3年未満の加入では対象外となることが多いため注意が必要です。
退職後の移管先を選ぶ必要がある
退職後は企業型DCの資産を他の制度へ移管する必要があります。移管先としては主に以下の2つがあります。
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
- 国民年金基金連合会を通じた管理型口座(通称:自動移換)
iDeCoに移管することで、自分自身で拠出を続けながら資産を運用でき、手数料も安く抑えられます。一方、自動移換になると運用が止まり、手数料が毎月発生するため不利です。
評価益もそのまま資産として保持される
評価損益がプラスであることは資産がうまく運用されている証拠ですが、その利益も含めて60歳までは現金化ができません。ただし、運用益には通常の投資と違って非課税という大きなメリットがあります。
iDeCoでの運用を続けることで、この非課税メリットを活かしながら将来に向けて資産を増やすことが可能です。
最も有効な活用方法はiDeCoへの移換
iDeCoに移管することで、加入者自身が掛金を追加しながら運用を継続できます。拠出額は月額5,000円から選べ、税制優遇も受けられるため、将来の資産形成に有利です。
例えば、年利3%で30年間積立を行った場合、元本180万円に対し約293万円の資産形成が可能になります。税金がかからない分、通常の投資より効率が良いのが特徴です。
iDeCo移管の手続きは早めに行うべき
企業型DCをそのままにしておくと、半年以内に手続きを行わなかった場合、自動的に国民年金基金連合会に移されてしまいます。これを「自動移換」といい、運用ができなくなり、口座管理料だけが差し引かれていきます。
したがって、iDeCoへの移管は退職後できるだけ早く行うことが望まれます。証券会社や銀行で申し込むことができ、iDeCo公式サイトからも情報が得られます。
まとめ
企業型確定拠出年金は、退職後すぐに現金化することはできませんが、iDeCoに移管することで資産を有効に活用することが可能です。評価益も非課税で運用され、将来の老後資金として大きな価値を持つため、放置せずに早めの手続きを心がけましょう。
コメント