健康保険には「国民健康保険」と「被用者保険(一般的に健康保険と呼ばれる)」の2つの制度があります。どちらに加入するかは職業や勤務形態によって決まりますが、それぞれの仕組みや負担額、補償内容などに違いがあります。この記事では、その違いや加入対象者、メリット・デメリットを具体例を交えて解説します。
国民健康保険と健康保険の基本的な違い
国民健康保険(通称:国保)は、主に自営業者・フリーランス・無職の人が加入する保険制度で、市区町村が運営しています。一方、健康保険(通称:社保)は、会社員や公務員などの被用者が加入し、勤務先が加入している健康保険組合や協会けんぽが運営します。
この違いにより、保険料の計算方法や負担の仕組みが大きく異なります。
保険料の計算方法と負担の違い
国民健康保険では、前年の所得や世帯の人数などをもとに自治体が保険料を算定し、全額を自己負担します。一方、健康保険では月給ベースで保険料が決まり、事業主(会社)が半額を負担する仕組みです。
たとえば月収25万円の会社員の場合、健康保険料は約2万5,000円ほどですが、実際の負担は半分の約1万2,500円程度です。同じ収入で国保に加入すると、地域によって異なりますが、全額負担のため割高になるケースもあります。
加入・脱退の手続きやタイミングの違い
就職した場合、勤務先が健康保険への加入手続きを行いますが、退職や独立で職場の健康保険を脱退したときには、自分で国民健康保険に加入手続きを行う必要があります。
この切り替えのタイミングで手続きを忘れると無保険状態になるため、会社を辞めた直後には速やかに手続きを行うことが重要です。
給付内容や保障の範囲
基本的な医療費の自己負担割合(3割)は同じですが、健康保険の方が手厚い給付があることが多いです。たとえば、健康保険には「傷病手当金」や「出産手当金」などの所得補償制度があります。
一方、国民健康保険ではこれらの制度はなく、病気や出産による収入減をカバーできないという点では不利といえます。
国民健康保険と健康保険の比較表
項目 | 国民健康保険 | 健康保険 |
---|---|---|
対象者 | 自営業・無職・退職者 | 会社員・公務員 |
保険料 | 全額自己負担(所得や世帯で変動) | 事業主と折半(給与に応じて決定) |
運営主体 | 市区町村 | 健康保険組合・協会けんぽ |
傷病手当 | なし | あり |
出産手当 | なし | あり |
どちらが得かは状況次第
フリーランスや自営業の場合は国保が基本ですが、法人化して役員報酬を得るようになれば健康保険への加入も可能になります。逆に、会社員から独立した直後は保険料の負担が大きく感じられるかもしれません。
所得が少ないうちは、国保には減免制度があるため、正しい手続きをすれば保険料を抑えることが可能です。
まとめ:あなたに合った保険制度を理解して選ぶ
国民健康保険と健康保険は、対象者・保険料・給付内容に明確な違いがあります。就業形態やライフステージによって加入すべき保険が変わるため、まずは自分の状況を整理し、どちらに該当するかを確認することが大切です。
もし迷った場合は、お住まいの自治体や勤務先の人事・労務担当に相談して、正確な情報をもとに判断するようにしましょう。
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